「こら!」
あなたが小学生のころ、叱られた記憶を思い出しましょう。
怒鳴られた記憶は出てくることでしょう。
先生の怖い顔・恐怖・雰囲気は、昨日のことであるかのように思い出せる。
しかし、です。
一方で「先生たちが語った言葉」というのは、うまく思い出せないのではないでしょうか。
叱られたときの光景ははっきり目に浮かぶけれど、親や先生から言われた具体的な言葉は、印象が薄いはずです。
不思議だと思いませんか。
強く叱られたなら、親や先生からの厳しい言葉も、はっきり耳に残りそうな気がします。
しかし、実際は残らない。
なぜでしょうか。
「勢い」がありすぎるからです。
往々に、叱る側は、言葉が早口になりがちです。
子どものいたずらに腹を立てるので、叱る言葉も早口になる。
また、早口のほうが勢いはあって言葉を強調できるから、相手も反省しやすいだろうと思います。
しかし、逆です。
早口の場合「勢い」という印象しか残らず、肝心の叱った内容がきちんと頭に残りません。
「すごい勢いで叱られたなあ。ところで何で叱られたんだっけ……」
後から思い出そうとすると、叱られた「勢い」しか印象に残っていません。
肝心の叱られた内容がすっぽり抜け落ちる。
こうならないためには、どうすればいいか。
叱るとき「ゆっくり」とした口調を心がけることです。
勢いよく叱りたい気持ちを抑え、叱るスピードを落とします。
子どもは、言葉を一つ一つ確かめる余裕が生まれます。
起こった出来事を整理できたり、考えながら話を聞くことができたりなど、心の準備の余裕が生まれます。
その中で、次から気をつけようと心がける意識も芽生えてくることでしょう。
叱るといえば「勢い」を想像しますが、そうではありません。
「ゆっくり」のほうが深く印象に残り、子どものためになるのです。