物覚えがいい人、物覚えの悪い人がいます。
年配者だけに限らず、若い人でも、うっかり忘れる人は、よくします。
そういう人は、そもそも生まれたときから、頭の出来が違うのかと思います。
物覚えがいい人は、記憶する前に、ワンクッションを置きます。
「記憶しやすく加工する」というワンクッションを置いてから、あらためて記憶作業に入ろうとします。
何気ない普段の心がけですが、物覚えがいい人は、人知れずそういうことをしています。
前項で「グループ化」のテクニックをご紹介しました。
「人」「乗り物」「歴史的出来事」「場所」というカテゴリーでグループ分けすることで、覚えやすくなる方法です。
では、続いて、もう1つ「関連性で覚える」というテクニックです。
「マジカルナンバー7」という言葉を、聞いたことがありますか。
「人が一目で確認できる数字の限界は、7桁前後である」という内容です。
もちろん個人差がありますが「7」というのは1つの基準になります。
私がある日、漢字検定の勉強をしていたときのことです。
漢字の勉強は、ひたすら漢字を覚えるという作業です。
数多くの漢字を目の前に、覚える作業をしているとき、あることに気づきました。
物覚えがいい人は、語呂合わせが得意です。
語呂合わせはかっこ悪いとはいえ、優れた効果があります。
数字の呼び方を、覚える事柄にうまく結びつけると、複雑な内容もすぐ覚えられます。
歌で覚える方法は、画期的な方法の1つです。
歌で覚えるのは、耳からの勉強法です。
音で覚えることに関しては、人間は驚異的な記憶力を発揮します。
まず、次の法則を確認しましょう。
・好きなことは、容易に覚えられる
・嫌いなことは、なかなか覚えられない
かっこつける人は、物覚えにも影響を与えます。
特に、見栄や体裁を気にする人は要注意です。
本屋へ行って、勉強のために本を選ぶとき、あなたはどのような本を選びますか。
「メリケン」という言葉を聞いたことがありますか。
「メリケン」とは「アメリカ人」という意味です。
私は昔、何の工夫もなく「メリケン=アメリカ人」とばか正直に覚えていました。
知識を受け入れるためには、まず土台が必要です。
その土台とは、理解です。
理解をしていないと、知識はざるですくっているかのように、残らず落ちてしまいます。
物覚えが悪い人は、体当たりで暗記しようとします。
何の工夫もない暗記は、最も効率の悪い覚え方です。
一方で物覚えがいい人は、常に「目的」を意識しています。
忘れないために「そもそも覚えない」という方法もあります。
覚えるから忘れます。
そもそも人間は、覚えることより、忘れるほうが圧倒的に得意です。
勉強には、気分転換が大切です。
勉強のために机にかじりついていると、頭がもんもんとし始めて、能率が下がります。
1日中勉強しようと意気込んでも、なかなかうまくいくものではありません。
「ああ疲れた。だらだらし始めてきたぞ……」
私は読書や執筆をする際、行き詰まり始めたら、まず場所を変えるようにしています。
場所を変えるだけで、雰囲気が変わり、受ける刺激が変わります。
仕事のできる人を見ると、コーヒーを飲んでいる人をよく見かけます。
もちろん必ずしもその限りではありませんが、その傾向は強いようです。
事実、コーヒーには頭をすっきりさせるカフェインが含まれています。
「昔は、楽しかったなあ」
「懐かしいなあ」
「あのころは若かったな」
あなたは「あくび」にどのような印象を持ちますか。
授業中にあくびをしていると、生徒がだらだらしている印象が一般的です。
そばで見ていると、生徒が真面目に授業を聞いていないように見えます。
ぼうっとしたときにあくびをすると、頭の回転がよくなります。
あくびに対して、よくない印象を持っている人が多いようですが、実は逆です。
そもそも、あくびは生理現象であることを思い出しましょう。
わかったふりをする人がいます。
特に、マナーが悪い中年男性は「わかったふり」を多用します。
「わかった、わかった」
ストレスが多いと、物覚えが悪くなり、度忘れをしやすくなります。
ぼけてしまったような感覚です。
「覚えよう、思い出そう」という脳の働きを、邪魔してしまうからです。
私が高校時代、日本史に精通した先生がいました。
教科書に書いていることは当然ですが、教科書に書いていないような細かい歴史事情にも精通していました。
その豊富な知識に尊敬しました。
物覚えをよくするためのよい方法の1つに「目を閉じて覚える」という方法があります。
目を閉じることで、目からの情報を遮断して、記憶作業に集中することができるからです。
目を閉じれば、目の前が真っ暗になります。
ある日、私は東京都内の温泉に出かけようと、インターネットで路線を検索しました。
東京にはたくさんの路線があり、クモの巣のようです。
見慣れない駅で乗り換える必要があり、すぐ頭で覚えられない複雑な経路だったので、紙に書いてメモしました。
社会人は、初対面の際、名刺交換は欠かせません。
自分のことを紹介するために、名刺を使って自己紹介をします。
しかし、初めての相手は、顔と名前を同時に覚えることが難しいです。
覚える範囲が広いとき、あなたならどうしますか。
もともと覚える範囲が狭ければいいですが、そうも限らない場合があります。
たとえば大学受験です。
勉強をしていてわからないところができたとき、あなたならどうしますか。
わからないところがわかるまで、徹底的に調べますか。
たしかにそうすれば、1つずつ確実に理解しながら進むことができるでしょう。
物覚えが悪い人は、将来に対して明るい印象がありません。
「覚えてもどうせ忘れる、役立たない」と、悲観しています。
そう思っては、勉強する意欲が湧かず、物覚えも悪くなってしまうのも当然です。
持参しなければならないとき、うっかり忘れてしまうことがあります。
たとえば、教科書です。
教科書を家で使い、学校でも使うので学校へ持参します。
人間が変わるためには、意識を変える必要があります。
意識を変えるための一番手っ取り早い手段は、恥ずかしい経験をすることです。
人間は、恥ずかしい経験によって成長します。