目の前を横切る自動車を見ていることは、日々の情報の氾濫にそっくりです。
さまざまな車が目の前を走ります。
トラック、外車、ワゴン、タクシー。
さらに色も加えると、多種多様です。
そんな目の前を走る車一つ一つに注意を向けていると、視点が大きく動き、目で追いかけることに疲れます。
初めは「いろいろな車があるものだな」と思っても、だんだん疲労がたまってきます。
日々の情報の氾濫も、さまざまなニュースで心は動きます。
芸能人の結婚、離婚、交通事故、少年事件、天気予報、お金の動き、経済の動き、世界事情……。
さまざまな情報は、目の前を横切る車のようです。
さっと現れ、さっと消えます。
また次が現れては、また消えることの繰り返し。
だんだん追いかけることに疲れてしまうのです。
視野が狭くなり、目の前のことにとらわれているから、疲れやすくいらいらしやすい。
目の前のことばかりに注意が向いているから疲れます。
もっと遠くを見つめればいいのです。
遠くにある山を見つめていれば、多少のことでは動揺しなくなります。
遠くにある山はさっと消えることもなければ、さっと現れることもありません。
安定した存在です。
遠くを見つめていると、私たちの心は穏やかになります。
いつもそこにある揺るぎない存在を見つめることは、迷子にならないことを保障してくれるからです。
近くを見つめていると、疲れます。
遠くを見つめていると、いらいらしなくなるのです。