信頼されるためには、メリットだけ伝えればいいわけではありません。
私たちは、交渉がスムーズに進むよう、メリットだけを伝えてしまいがちです。
デメリットを伝えると交渉が失敗するかもしれないので、伏せておこうと考えるのが一般的ではないでしょうか。
あるいは「聞かれたら答える」という姿勢で臨む人も多いはずです。
しかし、ここが良くある誤解です。
メリットばかり伝えることが、信頼につながるとは限りません。
うますぎる話には裏があるように、メリットしか提示していないと、相手は不信感を覚えます。
「話がうますぎる」
「何か裏があるのではないか」
「重大なデメリットを隠しているのではないか」
どんなことでも、メリットしかないという状況はあり得ません。
何事もメリットだけでなく、デメリットも存在するもの。
メリットばかり提示していると、相手はうまく話に乗せられているように感じて、違和感を覚えます。
かえって警戒され、なかなか信頼されないのです。
信頼されるためには、メリットだけでなく、デメリットも伝えるようにしましょう。
これを「両面提示」といいます。
商品説明の際は、長所だけでなく、短所も伝えます。
プレゼンのときは、プラス面だけでなく、マイナス面も伝えるようにします。
メリット・デメリットの両面を提示することで、相手は正しく吟味しやすくなります。
正直で誠実な印象も伝わるため、説得力の向上にもつながります。
それが結果として、信頼へとつながっていくのです。
もちろんデメリットを提示することには、リスクがあります。
相手から拒否されたり話を断られたりして、交渉が失敗に終わるかもしれませんが、悪いこととは言えません。
断られることがあったとしても「それはそれで良かった」と考え、相手の判断を尊重しましょう。
相手に無理やり押し付けるようなことがあってはなりません。
相手が正しく吟味したうえでの結論ですから「相手のためになっている」と言えます。
少なくとも信頼アップにはつながっているので、次のチャンスにつながります。
そのときは断られても、信頼関係は継続しているので、別の機会で声をかけてもらえることがあるかもしれません。
本当に相手のことを思うなら、両面提示は必須です。
両面提示は、信頼アップの技術なのです。