本番前「緊張しないように」と考える人がいます。
「緊張しないように……。緊張しないように……」
自分に言い聞かせるように、何度も繰り返し考える人が多いのではないでしょうか。
よくありがちな光景ですが、これほど危険なことはありません。
実際は逆効果だからです。
嫌な汗がにじんできて、どんどん心臓の鼓動が強くなり、手足の震えが止まらなくなるでしょう。
普通に立っていることすら難しくなることも少なくありません。
「緊張しないように」と考えれば考えるほど、緊張に注意が向いてしまい、かえって緊張を高める結果となります。
なぜこのような逆現象が起こるのでしょうか。
それは「脳は否定が苦手だから」です。
ここであなたに面白いテストをします。
「ピンクのゾウをイメージしないように」と考えてください。
あなたは今、ピンクのゾウをイメージしたはずです。
「ピンクのゾウをイメージしないように」と考えたにもかかわらず、ますます考える結果となるのは不思議な現象です。
脳は否定が苦手です。
頭で何らかのフレーズを考えたとき、否定が抜け落ち、キーワードだけが残って強調されます。
そのため「ピンクのゾウをイメージしないように」と考えると、否定が無視され、ピンクのゾウをイメージする結果となるのです。
これと同じ現象が「緊張しないように」というフレーズにも当てはまります。
脳は否定を理解が苦手であるため「緊張しないように」と考えると、否定が無視され「緊張」というキーワードが強調されます。
「緊張しないように」と考えれば考えるほど、頭の中では「緊張」という言葉が反響し、トランジスターのように増幅されます。
緊張に注意が向いてしまい、かえって緊張を高めてしまい、逆効果となるのです。
では、本番前はどう考えるのがいいのでしょうか。
「リラックスするように」と考えましょう。
このフレーズには否定がありません。
あるのは「リラックス」という弛緩を促すキーワードだけです。
「リラックスするように」と考えることで、言葉の力が引き出され、ポジティブな自己暗示がかかります。
心身の緊張が和らいで、スムーズにリラックスできるのです。