幸せになりたいなら、舌を肥やしてはいけません。
舌が肥えると味覚が発達して、味の良しあしを区別できるようになります。
微妙な味の違いを感じることができるようになれば、グルメリポーターになることも夢ではないでしょう。
一般的に舌が肥えることは良いことであるように思われていますが、そう単純な話ではありません。
実はここに思わぬ落とし穴があります。
舌が肥えるとどうなるか。
舌が肥えれば肥えるほど「おいしい」の基準が高くなり、普通の料理では満足できなくなります。
普通の料理を食べても「あまりおいしくないね」と感じるようになります。
おいしい料理を食べても「別に普通の味だね」と感じるでしょう。
舌が肥えて美食家になってしまうと、一流の料理を除き、ほとんどの料理がまずく感じられるでしょう。
別の表現をすると、舌が「わがまま」になってしまうのです。
一流の料理しか満足できない舌になってしまうのは、かえって不幸なことです。
もちろん世の中には一流の料理もありますが、それほど多いわけではなく、絶対数は限られています。
一流の料理ばかりを食べればいいと思いますが、お金がかかりすぎて支出が大幅に増えてしまい、家計を圧迫します。
せっかく舌が肥えても、まずいと感じる料理が増えると、幸せを感じる機会も減ってしまいます。
下手に舌を肥やそうとするのは、かえって幸せから遠ざかります。
料理研究家やグルメリポーターなど、仕事で舌を肥やす必要がある場合を除き、一般の方々は舌を肥やす必要はありません。
むしろできるだけ舌は肥やさないでおくの賢明です。
舌を肥やすのは、グルメリポーターや料理研究家の人たちに任せておきましょう。
下手に舌を肥やさないほうが、何でもおいしく味わえます。
白米の塩おにぎりを食べて「おいしい」と言える人は幸せです。
どんな料理を食べてもおいしく感じられるのが、一番幸せなのです。