学生時代を振り返ったとき、刻銘に覚えているのは「厳しい先生」です。
厳しい先生にはインパクトが強いため、記憶に残りやすい傾向があります。
恐怖と緊張があればあるほど、生命に関わることだと認識するため、強く情動が揺さぶられます。
厳しい先生のことは自然と記憶に深く刻まされることとなり、大人になってからも忘れられません。
厳しい先生のことは、声や顔や振る舞い方など、細かく覚えているもの。
「鬼」と呼ばれるような怖い先生がいれば、忘れたくても忘れられなくなっているはずです。
その一方で、優しい先生は厳しい先生の陰に隠れがちです。
優しい先生はインパクトが弱いため、記憶に残りにくい傾向があります。
厳しい先生のような、張り詰めた恐怖や緊張がありません。
優しい先生であればあるほど、学校を卒業すると、すぐ忘れてしまいます。
しかし、それでは優しい先生に失礼です。
優しい先生も、生徒のために頑張って授業を行いました。
カリキュラムに沿って、真面目に授業を進めていました。
地味な授業だったかもしれませんが、丁寧に取り組んでいたはずです。
印象は薄かったかもしれませんが、あなたの青春の1ページに存在していたのは事実です。
いま一度、優しい先生も思い出してください。
いつもにこにこして、笑顔を絶やさない先生がいたでしょう。
態度の悪い生徒がいても、いつも優しい言葉で注意する先生がいたでしょう。
生徒にばかにされたときも、笑いながら受け流していたでしょう。
何でも受け入れてくれ、何があっても怒ることがなく、いつも温和な態度の先生がいたはずです。
そうした優しい先生も、生徒たちのことを思っていたことに変わりありません。
優しい先生には、優しい心があります。
あなたの人生に存在していて、青春の一部であり、きちんと存在していました。
心が広くて寛大な先生からは見習う点があります。
印象が薄いからといって、いなかったわけではありません。
地味な先生だったかもしれませんが、確実にそこにいました。
私たちは、厳しい先生ばかり思い出しますが、優しい先生のことも思い出してください。
思い出しにくいなら、学生時代のアルバムを開いてください。
「そういえばこんな先生がいたね」と思い出せるはずです。
優しい先生にも目を向け、いま一度、きちんと感謝の念を持ちましょう。
「当時は大変お世話になりました。ありがとうございました」という気持ちを持つだけでいいのです。
もう会うことはないかもしれませんが、お世話になった先生方には、常に感謝の気持ちを持っておきたい。
優しい先生も、厳しい先生と同じくらい、愛があるのです。