私たちの会話では、事実であっても言わないほうがいい一言があります。
その1つが「誰のおかげで」です。
「誰のおかげで」というフレーズを口にする人がいます。
「誰のおかげで生活ができると思っているの?」
「誰のおかげで大きくなれたと思っているの?」
「誰のおかげで出世できたのと思っているの?」
どれも「恩を感じろ」と言わんばかり発言です。
今まで多くの恩恵を与え、お世話をたくさん施してきたので、恩を感じて感謝させようとする態度になっています。
往々にして「誰のおかげで」は事実です。
「誰のおかげで」と言う人は年上や目上であることが多く、今まで目をかけ、たっぷり手塩にかけてきたのでしょう。
時には自己犠牲を払ってまでお世話をしたこともあったかもしれません。
しかし事実だとしても、口に出さないことです。
恩着せがましいからです。
恩着せがましい人は、遅かれ早かれ嫌われます。
「誰のおかげで」と言われて嬉しい人はいません。
口に出した瞬間、恩着せがましい印象が出てしまい、相手は下を向いて眉をひそめるでしょう。
言っていることは正しくても、強い圧力が伴う態度は歓迎されません。
「誰のおかげで」と言われると、相手は縮こまって何も言い返せず、不快感を覚えます。
今まで多くの恩恵を与えたことが事実であっても、ずけずけ本人が口に出して言うことではありません。
上からぐっと押さえつけられるような感覚があり、相手は距離を置きたい気持ちに駆られます。
周りからは「感じの悪い人」として映ってしまい、人が離れていきます。
気づけば、孤立無援の状態に陥っているのです。
親が子どもに言うのは当たり前かもしれませんが、言い続けると、子どもから嫌われます。
夫が妻に言うのは当たり前かもしれませんが、言い続けると、妻から嫌われます。
上司が部下に言うのは当たり前かもしれませんが、言い続けると、部下から嫌われます。
「誰のおかげで」というフレーズに心当たりがあれば、今日から禁句にすることです。
相手に嫌われるだけで、いいことは1つもありません。
心で思っても、口に出して言う言葉ではないのです。