「紅茶とコーヒーのどちらがいいですか」
「魚料理とチキン料理のどちらになさいますか」
「たれは、味噌と醤油のどちらにしますか」
そう言われると、つい好みに合うほうを選びそうになります。
言われるがままに1つを選びそうになりますが、ここに落とし穴があり、注意が必要です。
人間には不思議な心理作用があります。
「2択は一方を選ばなければいけない」という思い込みです。
必ず選ばなければいけないわけではないにもかかわらず、2択を提示されると、一方を選ばなければいけない感覚があります。
2択の場面で大切なことは、もうひとつの重要な選択肢に気づくことです。
それは「選ばない」という選択肢です。
2択だからといって、無理に選ばなければいけないわけではなく、選ばないことも可能です。
「選ばない」という選択肢は、相手から提示されるとは限らないため、自分から申し出ることが必要です。
飲食店で「紅茶とコーヒーのどちらがいいですか」と聞かれても、喉が渇いていなければ断ればいいのです。
飛行機で「魚料理とチキン料理のどちらになさいますか」と聞かれても、食欲がないなら遠慮すればいいのです。
焼き肉屋で「たれは、味噌と醤油のどちらにしますか」と聞かれても、素を味わいたいなら「いりません」と言えばいいのです。
この2択の心理作用を悪用するのが詐欺師です。
詐欺師は、2択でぐいぐい迫ってくるのが特徴です。
「どちらがいいですか」と質問することで、一方を選ばせ、高額商品の購入を促してくるのです。
「今だけのチャンスですよ」とタイムプレッシャーもかけてきて、ますます早く選ばないといけない気持ちになります。
ほいほい安易に選んでしまうと、絶好のカモになってしまいます。
「気づいたら、いらない買い物をしていた。借金をしていた」となるのです。
2択の場面があったとき、2つの選択肢にとらわれるのではありません。
3つ目の「選ばない」という選択肢にも気づいてください。
相手から提示されるとは限りません。
むしろ提示されないことのほうが多いため、自分から申し出ることが必要です。
大切なことは「見えない選択肢に気づく」ということです。
2択の場面があったとき、どちらかを選ぶのではなく「選ばない」という選択肢にも気づいてください。
2択を提示されても、必要なければ、きちんと断ることが大切です。
その場の雰囲気に流されないことです。
選択肢にない選択が正解ということもあります。
提示される2択に対して、3つ目の「選ばない」という選択肢を作り出せる人が、未来を切り開きます。