私たちが心の状態を表現するとき、副詞や形容詞を使うのが一般的です。
たとえば「ちょっと落ち込んでいる」「かなりいらいらしている」「本当に怒っている」などです。
よく聞かれる表現ですが、わかりにくいところもあります。
「ちょっと」「かなり」「本当に」という言葉には、幅があります。
人によって感じ方が違う上、主観も混じっているため、正確に伝えにくいものです。
こんなときに役立つ表現方法があります。
「心の状態を体温に例える」という方法です。
体温は私たちにとって、最も身近な数字の1つです。
自分の平熱を基準に低い温度や高い温度で言い換えると、わかりやすく表現しやすくなります。
自分の身に置き換えてイメージしやすくなり、良しあしの程度を実感しやすくなります。
体温に例えることのメリットは「数字で表現できる」ということです。
言葉による説明だけでは曖昧で抽象的になりがちですが、数字を使えば、正確かつ具体的に表現できます。
元気がない状態なら、低い体温に例えてみます。
「少し落ち込んでいて元気がない、体温に例えると35度5分くらい」
「35度5分」という数字で表すことで、不調の程度が伝わりやすくなります。
自分の身に置き換えて想像することで、悪寒が感じられるでしょう。
逆にいらいらしているときには、高い温度で表現しましょう。
「少しいらいらしている、体温に例えると、37度5分くらいかな」
「37度5分」は微熱です。
頭に血が上っていて、熱くなっている様子がイメージしやすくなるでしょう。
直感的に、ほてった感じだとわかります。
怒りに震えているなら、さらに高い体温で表現してみます。
「今ものすごくいらいらして、爆発しそう。体温に例えると、39度か40度くらい」
体温で39度や40度は明らかに高熱であり、大変危険な状態です。
死にそうなほど熱くたまらないイメージが湧いてくるでしょう。
トラブルが収まり、心が正常に戻ったなら、平熱で伝えてみます。
「気持ちが落ち着きました。体温に例えると36度5分。まったく普段どおりです」
「普通」という言葉も悪くありませんが、体温を使って数字に例えて表現すると、説得力が増します。
自分の心の状態を伝えるときには、わかりやすく表現する工夫も大切です。
この表現方法を身につけることで、あなたのコミュニケーション能力がアップにつながります。