学校では、勉強ばかりの毎日です。
問題には、必ず答えがあります。
正しければ丸がもらえ、間違っていればぺけです。
ところがある程度、学生生活を送っていると、異質の問題もあることに気づきます。
正解のない問題です。
世の中には、正解のない問題もあります。
たとえば「人が死ぬのは悪いことか」という問題です。
難しい問題です。
一見すると「死ぬのはよくない」と思います。
長生きができれば、人生でたくさんの経験ができますし、楽しいと思うでしょう。
子どもの顔や孫の顔も、見られることでしょう。
死の恐怖もありません。
しかし、その一方で、問題もあります。
もし人が死ななくなれば、地球の人口は増える一方になります。
人でいっぱいあふれると、住む土地も食料も足りなくなり、大変なことになります。
奪い合いになり、戦争になるでしょう。
そんな劣悪な環境では「死んだほうがましだ」という人も出てくるはずです。
「人が死ぬのは悪いことか」という問題に、はっきりした答えはありません。
大人でも、答えるのが難しい問題です。
大切なことは、ここからです。
正解がない問題に触れたとき、どうするかです。
多くの人が「正解がないのだからほうっておけばいい」と思ってしまいます。
腫れ物に触るかのように、答えを出そうとしないのです。
そう思ってしまうから、よくないのです。
問題に取りかかっていないからです。
問題から逃げています。
難しい問題から逃げると、考えることができない人間になってしまいます。
では、どうすればいいのかというと、自分なりの答えを持つのです。
あくまで、自分の考えでかまいません。
「死にたい意志のある人には、死ぬ権利もあると思う」
「医療が発達して人が死ななくなったとき、寿命に上限を設けるといい」
さまざまな意見があるでしょう。
「私はこう思います」と言えるようになることです。
自分でそう思うなら、正解です。
自分の考えを持つことで、思考力が養われるのです。