中学3年のとき、貴重な体験をしました。
全校生徒の前で、生徒代表の挨拶です。
一応、自分から立候補です。
「一応」というのは、ちょっとした事情があったからです。
掃除の時間、私は廊下の掃除を、女の子2人と担当していました。
2人とも、かわいい女の子です。
掃除の当番はくじ引きで、たまたまかわいい女の子と廊下の当番が決まりました。
ある日のことです。
女の子と話しながら廊下の掃除をしていると、生徒代表の挨拶の話題になりました。
ちょうどそのとき先生は、挨拶の代表者を探していましたが、誰もやりたがりませんでした。
教室で「やりたい人はいるか」と言っても、みんな下を向き、聞こえないふりをするのです。
「恥ずかしくてできないよね」という女の子の発言に、私はうっかり調子に乗ってしまいました。
「やればできるでしょ。自分でもできるよ」と強がってしまったのです。
その瞬間、偶然に先生が廊下を通りかかり、女子生徒が先生のところへ報告しに行ってしまいました。
「そうか。水口、よく言った!」と先生も喜んでいたため、引くに引けなくなったのです。
その日から、猛練習でした。
自分で考えた発表内容を原稿用紙に書いて、先生に提出します。
すると、赤ペンだらけの指摘が入った原稿用紙が戻ってきて、何度も添削を繰り返しました。
次に先生の前で、何度かリハーサルをさせてもらいました。
発表当日は、原稿用紙を見るのは禁止だったため、すべて暗記が必要でした。
姿勢、話し方、話すスピードなど、先生から指摘を受けながらも、それらしい形を仕上げていきました。
今思えば、先生とマンツーマンで、濃い教育でした。
いろいろ苦労はありましたが、先生のサポートのおかげで、何とか当日はうまくいきました。
すると、その経験をしてから、妙に度胸が身についたのです。
全校生徒の前で代表の挨拶をすることに比べれば、ほかのことは、ささいなことに思えます。
何でもできそうな気がしたのです。
自分が、少し変われた一件でした。
機会があれば、生徒代表の挨拶を、自分から立候補してみましょう。
準備や緊張で大変ですが、必ずあなたのためになります。
自分が大きく変わるきっかけになるはずです。