「握り方が悪い」
「さっきも言っただろう」
「何度言えばわかるんだ」
私はこれまで、店内で喧嘩をしているのを見たことがあります。
客同士の喧嘩では、ありません。
店主が、見習いに対して怒っているのです。
これまで何度か目撃しましたが、決まってその場所は「寿司屋」でした。
私の経験ではありますが、寿司屋には頑固で怒りっぽい店主が多いと感じます。
それは、本気になっている証拠です。
日本人は、技術に対して凝り性の部分があります。
技術に対する思いも、並々ならぬものです。
もちろんすべての日本人に言えるわけではありませんが、そういう傾向が強いと感じます。
寿司屋では店主の怒鳴り声が聞こえることがあります。
技術に対して遠慮をしない、本気になっている姿がうかがえるのです。
本来は、客の前ではそういうところを出すべきではないのですが、よほど手際が悪かったのでしょうか。
珍しい光景でしたが、寿司職人の裏側を垣間見た気がしました。
本気になって握り寿司を作ろうとする職人に出会って、思いました。
「作る人がこれだけ熱心になっているのだから、食べる側にもマナーが必要だ」と。
全体的に、握り寿司は作る側が熱心になっているのに、食べる側のマナーが足りない気がします。
本気になって作っているのですから、食べる側も本気になってもらいたい。
気分を害さないためのマナーは当然ですが、作った人の技術や努力に報いるためのマナーが必要です。
今回、寿司について書こうと思った最大のきっかけです。