職人は一人前になるまで「10年」もの時間をかけています。
考えてみましょう。
寿司屋で一番喜ばれる言葉は何でしょうか。
やはり「おいしいね」という言葉に尽きます。
魚の種類や脂の乗り具合がいいといったり、ネタが新鮮といったりなど、知識を含めた褒め言葉もいいです。
ですが、シンプルに「おいしい」と言えばいいのです。
この言葉を聞くために、何年にもわたる苦しい修行を積み重ねています。
それが職人にとって最も嬉しい言葉であり、同席者との会話も弾みやすくなるのです。
修行に対するお礼は、お金ではありません。
喜びであり、気持ちなのです。
お客さんが笑顔になっておいしいと褒めてくれると、その瞬間、数年間の修行の苦しみは報われます。
「頑張ってきたかいがあったな」と思うのです。