私は寿司屋で、寿司を食べる前、おいしいかどうかが判断できます。
難しいことではありません。
店内のにおいで、わかります。
寿司屋の扉を開けて入った瞬間、魚らしい独特のにおいが感じられるはずです。
魚を扱う専門の店ですから、当然です。
魚料理を経験したことがあればわかると思うのですが、魚の生臭いにおいは、なかなか取れません。
洋服に血が付くと、洗濯してもなかなか取れないように、魚も血が含まれる肉を扱うので、なかなか落ちるにおいではないのです。
魚を専門に扱う寿司屋なら、魚のにおいが多少なりとも店内にするものです。
しかし、問題は「においの質」です。
大きく2種類あります。
「新鮮な魚のにおい」と「腐ったような魚のにおい」です。
店内の魚のにおいが新鮮なら、食べる前から、おいしいであろうことが直感できます。
新鮮な魚のにおいは、きれいに掃除が行き届いている証拠です。
店内の隅から隅から、定期的な掃除が行われていることがわかります。
そうした配慮ができる人は、当然、握る技術にたけているものです。
見なくても、においが証明しています。
場合によっては、もはや魚のにおいがしない店すらあります。
そういう店は、間違いなく本物です。
一方、魚の腐ったようなにおいがする店もあります。
掃除の手を抜いていたり、隅々まで掃除が行き届いていなかったりする証拠です。
その気配りの足りない店は、寿司を握る際にも現れます。
技術が低かったり手を抜いていたりなど、どこか配慮が足りないのです。
腐った魚のにおいがする店というのは、細かな点が配慮できない店です。
そういう店は握る寿司の程度が予想できるのです。