箸で料理を口に運ぶ際、こぼれないように手で受けながら食事を進めている人を見かけます。
家庭での食事やカジュアルな和食ならまだしも、本格的な日本料理をいただく際はよくありません。
正式に言うと、手を受け皿にするのはマナー違反です。
和食で癖になっている人も多く、どきっとする人もいるのではないでしょうか。
これは合理的なようで、そうでもないのです。
盆を汚したり、ご飯が落ちたりしないよう注意しているつもりですが、手にこぼれ落ちれば、手が汚れます。
汚れていないように配慮しているつもりでも、手が汚れるなら意味がありません。
手で受ける効果は、大きいとは言えないのです。
極端に言えば、手を受け皿にするくらいなら、こぼしたほうがまだましです。
盆を汚すより手が汚れるほうが、よほど見た目が悪く、対処に困ります。
食事中に手を汚すことは、そのくらい避けたいことなのです。
和食において手を汚すのは、タブーの中のタブーです。
では、手を受け皿にしないなら、こぼれたとき、どうすればいいのでしょうか。
まず、持ち上げてよい器なら、手で持ち上げてこぼれてもいいようにします。
しっかり口元まで器を運べば、こぼれ落ちても大丈夫です。
持ち上げていけない器なら、懐紙を使います。
懐紙を受け皿の代わりに使えば、こぼれても手が汚れないのです。