そもそも犬も猫も、祖先は同じです。
今でこそ見た目も泣き方も性格も異なりますが、はるか昔に遡ると同じ祖先にたどり着きます。
5,500万年前に、今のヨーロッパ地方あたりの森に生息していた「ミアキス」という動物が、犬と猫の祖先だとされています。
大きさは、今の少し大きめの猫くらいです。
森の中で生息していたミアキスは、生存競争が繰り広げられ、すみかを移動し始めました。
ダーウィンの進化論では「あらゆる動物は、環境に最も適した進化を遂げる」とされています。
この「住む場所の違い」によって「動物としての違い」も生まれてきました。
住む場所に最も適するため、体つき・性格・大きさなどあらゆることが「最適化」されて変化(進化)していきました。
森の外の草原へとすみかを移した動物は「犬」となり、森の中に残った動物は「猫」へと進化していったとされています。
もう少し具体的に説明しましょう。
森の外に出て草原で暮らすようになったミアキスは、広い草原を速く走る必要性があります。
草原はとても広い。
また、広い草原は見晴らしがよく、隠れる場所や逃げるところも少ない状態です。
それは、集団で行動したほうが都合はつきました。
集団で群れるほうが、獲物を仕留めやすかったり、襲われても反撃しやすかったりします。
1対10で戦えば、通常は1匹のほうが負けます。
また集団だからこそ、統率するリーダーが必要になり、絶対的な主従関係も生まれました。
広い草原を走っているうちに、体つきは大きくなり、筋肉質になり、持久力やスピードを身につけます。
敵を威嚇するために、吠える声も大きくなりました。
今の犬らしさへと進化を遂げていきました。
「森」という環境に残ったミアキスは、多くの木や草が生い茂る中で、獲物を捕ったり、敵から逃げたりしなければなりません。
そのため、体は比較的小さく、しかし素早く動ける瞬発力を求められます。
その環境に最適化しようと、木を登ったり下りたりするための「鋭い爪」。
一瞬で獲物を仕留める「瞬発力」。
多くの小動物の存在を聞き分けられる鋭い「聴覚」。
飛ぶ鳥もいれば、地上を動く小動物など、狭い場所で頼りになるのは、目より音でした。
その結果、鋭い聴覚が発達し、超音波まで聞き分けられる耳を持つようになりました。
また、少ない筋肉と小さな体で、スピードや瞬発力を実現するためには、普段体力を温存しなければなりません。
普段はじっとしている生活が定着していきました。
高い木の上から落ちたとしても、無事に着地ができるよう体はしなやかで、平衡感覚に優れていきました。
その後、森から出て、砂漠で暮らし始め、リビア猫へと進化を遂げた後、家畜されて今の猫へと進化していきました。
犬も猫も祖先が同じですから、性格も似ていると思いますが、生まれ育った環境のせいで性格もまったく異なっています。
こうしたドラマを知ると、今まで何気なく飼っていた犬や猫への愛着もより大きくなりませんか。
今あなたが飼っている犬や猫は、そんな激しい生存競争を乗り越えることができた子孫です。
見た目も鳴き声も性格まで全然違う犬と猫ですが、出どころは同じなのです。