「だいぶ猫の体が汚れてきたなあ。そうだ、一緒にお風呂に入ろう」
猫の体が汚れてきたので、たまには洗ってやろうと思います。
しかし、水をかけるやいなや、嫌がるしぐさを見せるはずです。
それもそのはず。
実のところ、猫は水が大の苦手です。
犬も水が苦手ですが、それ以上に猫は水に対して強い苦手意識を持っています。
この理由をひも解くと、猫の先祖である「リビア猫」から説明しなければなりません。
リビア猫は猫の先祖であり、アフリカからインドにかけて砂漠地帯に住んでいました。
砂漠地帯ですから、雨もほとんど降りません。
当然、水で体を洗うという習慣もありませんでした。
では、体の汚れをどう落としたのかというと、砂漠の砂の上を転がったり、自分の舌で毛繕いをしたりなどしていました。
猫の舌の上を見れば、ぶつぶつした突起物があるはずです。
それが、人間でいう髪をとく「ブラシ」の代わりになっています。
舌でなめて、毛繕いをしたり汚れを落としたり毛並みを整えたりしています。
水がない環境で育ったので、汚れを落としやすいように舌が進化しています。
そのため、水が苦手でどうしていいのかわからないので、とりあえず逃げようとします。
ちなみに水に慣れていませんから、当然泳ぐのも下手です。
犬は「犬かき」で上手に泳ぎますが、猫の場合はうまく泳げず、溺れます。
また雨も嫌いです。
犬は雨の中でも気にせず散歩をしますが、野良猫はたいてい雨宿りです。
雨が降っているときは、濡れるのが嫌なので、やむまでじっとしていることがほとんどです。
完全に室内で飼えれば、雨に濡れたり汚れたりするケースは少ないことでしょう。
とはいえ何週間もそのままにしておけば、さすがににおいや汚れなど気になり始めるはずです。
たまには猫を洗いますが、たとえ毛の長い猫の場合であろうと、1カ月に1回程度で十分です。
通常の猫なら、汚れの状況に応じて、1、2カ月に1回程度でいいでしょう。
頻繁にシャンプーをしすぎると、皮膚が乾燥しすぎてしまい、かえって皮膚のトラブルになる原因になるので注意が必要です。
できれば、猫がまだ若いうちに水に慣らしておくと効果的です。
水も、冷たい水ではなく、ぬるま湯のほうがいいでしょう。
たまには一緒にお風呂に入りたいところですが、溺れでもしたら大変です。
お風呂に浸からせるより、ぬるま湯のシャワーを優しくかけてあげる程度がいいでしょう。