私が小学生のころ、理科の先生に「K先生」という年配の男性教師がいました。
年配にもかかわらず、熱血の先生でした。
K先生は、必ず明るい授業をする先生でした。
そういう雰囲気ができるようにある方法を実践していたからです。
先生は教室に入るとき、わざとらしくドアを大きく開けた後、大きな声で「おはよう」と言います。
教室の中にいる生徒の中には、突然の大きな声に驚いている人もいれば「おはようございます」と返事をする人もまばらにいます。
挨拶の返事が小さければ、K先生は面白いことをします。
「声が小さい! やり直し!」
先生はまた廊下に出て、初めからやり直します。
「テイク2」です。
一度目と同じように、わざとらしくドアを大きく開けた後、大きな声で「おはよう」と言います。
さすがに2回目ですから、生徒の全員がK先生の大声に負けないように「おはようございます」と言い返します。
生徒全員の声が合わさると、逆にK先生の声より大きくなり、先生が押されるほどです。
その瞬間、元気のスイッチが入ります。
だらりとしていたクラスの雰囲気が、ぱっと明るくなります。
もし2回目の返事も元気がなければ、先生は3回でも4回でも繰り返します。
クラスの元気が出るまで、授業を始めませんでした。
これが先生の素晴らしい授業の方法でした。
うまいスタートダッシュです。
明るい雰囲気から始めると、授業中も明るい雰囲気が続きます。
だからK先生の授業はいつも明るくて元気がいっぱいだったのです。