読者は、自分の考えを共有できる言葉を探しています。
「自分が考えていることは、自分だけが考えている変な考えなのかな」と、不安になっています。
会社でのストレスを話したいのに、自分だけが感じているだけなのか不安なときがあります。
そうしたとき、友人からも同じような話を聞くと、救われるものです。
共感です。
「ストレスを感じているのは、自分だけではないんだ」と思い、安心します。
安心するだけで、精神的に楽になれます。
本を書くときには、聞いたこともない言葉を書く必要はありません。
ありふれたことでいいのです。
ありふれたことであり、みんながなかなか口にできない一言が、心に響くのです。
スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』のキャッチフレーズは有名です。
「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」
一見、当たり前の一言です。
人生、山あり谷ありです。
しかし「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」という、ありふれたフレーズが、人々の共感を呼べるのです。
「そうそう、そうなんだよね。そういえば、私も……」と思うと、ずいぶん気持ちが楽になります。
人々の共感を得ることで、1人で背負い込んでいるストレスを、みんなで分けている感じになれます。
ジブリの名作がいつもヒットしているのは、かつて人々が抱いていた夢を、思い出させてくれる映画だからです。