時間を有効に使おうと、早口で話す人がいます。
次から次へと口から言葉が飛び出し、機関銃のように早口でまくし立てます。
特にせっかちな人にありがちです。
たしかに早口で話せば、より多くの情報を詰め込んで話せるでしょう。
映画を2倍速で見れば視聴時間が2分の1で済むように、2倍のスピードで話せば時間は2分の1で済みます。
スピードを意識する人であれば、意識的に早口を心がけていることも多いはずです。
しかし、ここに落とし穴があります。
早口で話すと、うまく聞き取れません。
相手から「なんと言いましたか?」「もう一度お願いします」と聞き返されることが増え、そのたびに時間がかかります。
早口であるゆえに聞き逃しや聞き間違いも起こりやすくなり、仕事のミスを誘発する原因となります。
仕事のミスが発生すると、やり直しや修正に時間がかかります。
早口は、話し手にとって良くても、聞き手にとって負担が大きいため、コミュニケーションに支障を来します。
時間を有効に使おうと早口で話していると、かえって余計に時間がかかってしまう結果となるのです。
相手から「落ち着きがない」「圧を感じる」と思われてしまい、悪印象につながりかねません。
プレゼンやスピーチでも、早口で話すと、マイナス評価につながるのが相場と決まっています。
プロのアナウンサーは「1分間に300文字」の速さで話すことを意識しています。
これは少し遅めのスピードです。
滑舌が良いアナウンサーでさえ、聞き手が理解しやすいよう、話すスピードを遅めに調整しているのです。
時間を無駄にしたくないなら、ゆっくり話すほうが効果的です。
話すスピードは遅くなりますが、しっかり耳を傾けてもらえる分、1回の発言でしっかり伝わります。
聞き逃しや聞き間違いも起こりません。
「落ち着きがある」「話が理解しやすい」というイメージにもつながるので、好印象を持ってもらえます。
ゆっくり話すことを心がけることが、結果として一番時間の無駄がないのです。