自分を「無能」と言って、嘆く人がいます。
「私は無能な人間だ。全然仕事ができない。上司に叱られてばかり」と。
小さなミスを繰り返したり言われたとおりにできなかったりすることが多いと、だんだん自分が嫌になってきます。
簡単な仕事ができなかったりしたときは恥ずかしいもの。
周りに迷惑をかけていると、申し訳ない気持ちもあって、自分が情けないと感じてしまいます。
そんな仕事ができない状況が続いていると、ふと自分を「無能な人間だ」と言いたくなるのかもしれません。
しかし、ここは大切な場面です。
どれだけ仕事ができなくても、自分を無能と言ってはいけない。
無能は、強い否定を含んだ言葉です。
自分を無能と言っていると、否定の自己暗示がかかります。
ますます自信を失って、劣等感にさいなまれ、自己肯定感が下がる一方です。
何度も口にしていると、自分がダメ人間に思えてきて、自己嫌悪に陥ってしまいます。
エスカレートすると、自分の存在価値が感じられなくなり、生きる気力すら失いかねません。
自己否定の言葉を口にしないことです。
自分に対するモラハラであり、百害あって一利なし。
自分のことを無能と言ったところで、良いことは1つもありません。
どれだけ仕事ができなくても、自分のことを無能と言わないことです。
自虐や謙遜で口にする人もいるのかもしれませんが、注意が必要です。
たとえ自虐や謙遜のつもりだとしても、無能という言葉は自己否定の悪影響が強いため、口に出さないほうがいいのです。
無能と思っているなら誤解です。
無能とは「能力がない」「何の役にも立たない」ということです。
本当に無能なら、仕事が1つもできません。
もっと言うと、歩くことも走ることもできません。
話すことも食べることもできません。
本当に無能なら、仕事どころか、もはや生きることすらできていないはずです。
たまたま自分に合っていない環境にいるだけです。
分不相応な仕事が多く、そのせいで失敗が続いているだけです。
自分に合っていない仕事や状況があれば、失敗が増えるのも当然です。
仕事ができなくても、自分で思うほど無能ではありません。
仕事ができないとはいえ、世の中のあらゆる仕事ができないわけではないはずです。
簡単な雑用や小さな作業くらいならできるでしょう。
ちょっとした仕事くらいならできるのではないでしょうか。
この時点で、すでに無能とは言えません。
きちんと仕事ができる能力があります。
また歩けたり走ったり話せたりすることもできるはずです。
「誰でもできて当たり前」と思うかもしれませんが、これも「能力の1つ」です。
小さなことでかまいません。
できないことではなく、できることを考えましょう。
無能という言葉は、人には自分にも、禁句なのです。