「メタ認知」という言葉をご存じですか。
認知心理学の用語であり、自分の思考・感情・行動などの認知を客観的に捉えることをいいます。
もっと簡潔に述べるなら「認知していることを認知すること」という表現ができます。
「メタ」はギリシア語に由来する言葉で「高次」という意味があり、メタ認知は「高次の認知」と言い換えられます。
ちょっと難しい言葉ですが、メタ認知の向上は、私たちが快適に生き方を実現するうえで役立つポイントです。
メタ認知を高めることで、自分の感情や行動をコントロールしやすくなり、問題解消がスムーズになるメリットが期待できます。
メタ認知を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。
今すぐできるシンプルな方法があります。
「淡々とした声で自分の状態を口に出すこと」を心がけてみてください。
私たちはアクシデントが起こったとき、とっさに「心の声」を発します。
嫌なことがあれば「ああ、いらいらする!」と思うでしょう。
服の上に食べ物が落ちたら「しまった、服に汚れが付いちゃった!」と思うでしょう。
汗をかいて顔がべたついたら「やばい、汗でメイクが崩れちゃった!」と思うでしょう。
とっさに出る心の声によって感情が大きく乱れ、これが冷静を欠く原因となります。
その場の感情に任せた認知は、主観が強くなるうえ情動の影響も受けやすいため、正常な認知を妨げてしまうのです。
そこでアクシデントがあったとき「淡々とした声で口に出すこと」を心がけてみてください。
「ああ、いらいらする!」ではなく、淡々とした声で「私は今、いらいらしている」と口にします。
「しまった、服に汚れが付いちゃった!」ではなく、淡々とした声で「服に汚れが付いている」と口にします。
「やばい、汗でメイクが崩れちゃった!」ではなく、淡々とした声で「メイクが崩れている」と口にします。
すると、第三者の視点から見ているような感覚が生まれます。
自分のことでありながら他人のことのように感じられるため、冷静に自己を客観視できるようになります。
メタ認知が向上することで、落ち着いた行動が取れるようになり、アクシデントの対処がスムーズになるのです。