理解のない言葉を発するのは、当事者意識がないからです。
当事者意識がない人は自己中心的な見方をするようになります。
見たまま・感じたままの印象で率直に判断するため、少しでも気に入らないことがあればすぐ感情的になります。
愚痴や文句など、理解のない言葉を発することが増えるようになります。
「上司がむかつく」
「病院の受付が遅い」
「総理にはリーダーシップが不足している」
大切なのは「当事者意識を持つこと」です。
当事者意識を持つと、相手の立場や気持ちを想像できるようになります。
見たままではなく、見えていないところまで想像ができるようになり、理解のある言葉を発することができるようになります。
たとえば、上司にむかつくことがあったときとします。
当事者意識を持って、上司の裏側を想像して見てください。
「きっと家庭が大変なのだろう」
「多くの部下を持って大変なのだろう」
「思春期の子どもに手を焼いてストレスをためているのかな」
上司なりの苦労や大変さが見えてくれば、理解のある言葉が出てくるようになるでしょう。
病院の受付が遅くても、当事者意識を持ってみてください。
「処理することが山ほどあるのかな」
「多くの患者さんがいて大変だよね」
「さっきの患者さんのクレーム対応で精神的に参っているのかな」
自然と理解のある言葉が出てきて、穏やかな気持ちでいられるはずです。
首相のリーダーシップに頼りないところがあっても、むっとするのではなく、まず当事者意識を持ってみることです。
「全国民から注目されるのは相当なストレスだろう」
「首相も『首相』を経験するのは初めてだよね」
「国を運営する立場は考えることが山ほどあるだろう」
不快な気持ちも多少は収まり、理解のある言葉が出てくるに違いありません。
「どうして私がわざわざ相手の立場を想像しなければいけないの?」と思うかもしれません。
「相手の事情なんて考えていられない」という人もいるでしょう。
もっともなことですが、それはまだ心が狭い証拠です。
大人であれば、できるだけ広い視野を持って当事者意識を心がけることです。
一度も経験したことない立場も当然あるでしょうが、わかる範囲で想像力を働かせることならできるはずです。
自分なりに「きっとこんな様子なのだろう」と想像することならできるでしょう。
世の中には「絶対許せない」「完全に理解不能」ということがあるのも事実です。
すべての人に対して当事者意識を持つのは困難であり、当事者意識を持つにも限界という場面もあるでしょう。
それでも努力ならできるはずです。
見る人や接する人、できるだけ多くの人に当事者意識を持ってみてください。
当事者意識を持てば持つほど理解のある言葉が増えます。
心の器が一回り大きくなって、優しい一言や思いやる発言も増えます。
むっとすることが減って、感情も安定するのです。