夜空に浮かぶ大きな天体といえば「月」です。
月の年齢はおよそ45億年。
地球の年齢は46億年ですからほぼ同じくらいの年齢です。
月の姿は45億年前に誕生して以来ずっと変わっていません。
地上の景色は、大陸が移動したり山や川ができたりなど時代によって変わりますが、月の姿は同じままです。
月は大気も酸素も緑もないので、景色も雰囲気も同じ様子が続いています。
月は、人類が誕生する以前から同じ姿をしています。
ここで気づいてほしいことがあります。
大昔から月の姿が同じであるということは、大昔の人たちも同じ月を見ていたということです。
1000年前の平安時代の人たちも、同じ月を見ていました。
紫式部や清少納言も月を見て、楽しんでいたことでしょう。
『源氏物語』『枕草子』にも月の話が登場しています。
2000年前の弥生時代の人たちも、同じ月を見ていました。
邪馬台国の卑弥呼も、月を見ていたはずです。
月の満ち欠けから占いを決めていたこともあるかもしれません。
1万年前の縄文時代の人たちも、同じ月を見ていました。
石器を持った名も無き人たちも、月を見ていたに違いありません。
月明かりを頼って狩りをしていたこともあるはずです。
はるか大昔の人たちと同じ景色を見ていると思うと、不思議な気持ちになりますね。
「きれいな月だなあ。はるか大昔の人たちも同じものを見ていたのだなあ」
そんな思いを巡らせながら月を眺めると、より感慨深いものが感じられるでしょう。
これは過去だけでなく、未来にも言えます。
100年後、1000年後、1万年後の未来人も、同じ月を見ることになるはずです。
生きている時代こそ違いますが、月の鑑賞だけは、すべての時代に生きる人の共通体験です。
毎晩あなたの上では、時代を越えた天体ショーが行われています。
夜空に浮かぶ月には、時代を越えた感動があるのです。