「真面目な人は、断ることができない」
世間では、そうした認識があります。
たしかにできるだけ断らず、何でも仕事を引き受けたほうが、真面目な印象も出やすくなるでしょう。
何でも受け入れられる人のほうが、器が大きな印象もあります。
真面目な人は、真面目であるゆえに、何でも引き受ける印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
ここに誤解があります。
断れない人が真面目というわけではありません。
断れないのは、気が小さいか、優しすぎるかのどちらかです。
「嫌われたくない」
「恥ずかしくて断れない」
「断ると、相手に申し訳ない」
「とにかく相手の役に立ちたい」
自意識過剰だったり、自分より相手を大事にしてしまったりすると「NO」という勇気がありません。
余計な不安や心配を考えていて、なかなか断ることができません。
何でも引き受けるのは立派な態度に思えますが、注意が必要です。
自分の許容範囲を無視して引き受けるのはよくありません。
「失敗する」「不可能」とわかっている仕事を引き受けるのは、かえって相手に迷惑をかけてしまいます。
真面目になりたいなら、きちんと断る力を身につけることです。
「仕事を断ると相手に迷惑がかかる」と思うのは、誤解です。
無理に引き受け、仕事に大きな穴を開けるほうが、はるかに迷惑です。
自分の許容範囲と照らし合わせて「できそう」と判断したことだけ引き受けるようにしましょう。
もし無理そうなら、丁寧に謝ったうえで断ります。
成し遂げられないことがわかっているなら、依頼の段階で断るのがマナーです。
無理なら「無理」と正直に言えるほうが、真面目です。
きちんと断ったほうが、信用や責任を大事にしていることが伝わるので、相手からも信頼されるようになります。
ただし、断るときには言い方に注意が必要です。
「無理」「不可能」「絶対できません」など、突っぱねるような言い方は避けたほうがいいでしょう。
意味ははっきり伝わりますが、とげとげしい響きがあるため、相手を不快にさせる可能性があります。
できるだけ相手を不快にさせないよう、柔らかい言い方のほうが、上手に断れます。
「忙しいので、今は厳しい」
「余裕がないので、別の人にお願いしたほうがいい」
「また別の機会でお願いします」
相手の立場を考えながら丁寧な言葉を心がければいいだけです。
断る勇気を身につけてください。
たとえ相手に嫌われようと、当たり前を当たり前にするだけです。