紙に書いてある文字を素早く転写ができる、コピー機というものがあります。
そんなコピー機は、人間とそっくりな一面を持っています。
コピーを取りたいと思うときに、まずスイッチを入れます。
しかし、スイッチを入れたからとはいえすぐコピーが取れるわけではありません。
コピー機には「コピー準備中」という最初の時間があります。
車のエンジンでいうと、最初の加熱をしている時間にあたります。
これが長いのです。
コピーを取る人は、何も100枚のコピーを取りたいわけではありません。
たった1枚のコピーを取りたいだけです。
しかし、スイッチを入れたばかりのコピー機は最初に動き出すまでにかなりの時間がかかります。
5分ほどたって、ようやく動き始めます。
いったん動き始めると、コピーは何枚でもすいすいできます。
はじめの1枚までは時間がかかったのに、いったんコピー機が動き始めるとコピー100枚200枚もすいすいできてしまいます。
コピー機は動き始めたら早いのですが、動き出すまでの時間がかかってしまうのです。
これは、人間にそっくりだとは思いませんか。
人間は、動き出すまでに時間がかかります。
一度動き始めたら次々とやれるのですが、最初の重い腰を上げるまでに、相当な時間がかかってしまうのです。
時間を思ったより使っているのは、この重い腰を上げるまでの時間です。
やると決めたことは、どれだけ重い腰をさっと動かせるかです。
どれだけさっと重い腰を上げられるかで、どれだけ時間を大切にできるかが決まります。
実際に動いている時間はあまり差がありません。
差がついているのは、最初に動き始めるまでの腰を上げる時間なのです。
「スピード」ばかりに気を向けてしまいがちですが、本当は「時期を早めること」のほうがさらに大切なのです。
時間を節約するのは、重い腰をさっと上げられることなのです。