私が幼いころ、最も親から叱られたのは、このマナー違反です。
苦い思い出があります。
食事中、なんとなく箸をご飯に突き刺したとき「そういう箸の使い方は絶対にやめなさい!」と、怒った口調で注意されたものです。
親がひどく怒っているので、それだけ悪いことなのだなあと思ったものです。
この箸の使い方は、仏教で死者を弔うときに使われます。
葬式で、死者の枕元に、箸を立てたご飯を見たことがあるのではないでしょうか。
箸は「あの世とこの世の掛け橋」という意味があります。
そのため死んだ人には、ご飯に箸を突き刺して供えます。
仏様に向かって、死者がこの世からあの世で迷うことなく、安らかに成仏するように祈りを捧げるのです。
葬式で故人を弔うとき、ご飯に箸を差すのは間違いではありません。
しかし、あくまで死んだ人に対してする使い方です。
生きている人がするのは、大変縁起が悪いためしてはいけません。
ご飯に箸を突き刺すのは、仏様にあげるときにすることです。
冗談でもするべきではありません。
日本国内ではもちろん、海外で和食を食べるときにも注意しましょう。