箸の使い方のマナー違反には、必ず理由があります。
外国人には、箸の使い方でタブーがあるのは、前提知識がないと理解が難しいのではないでしょうか。
「箸から箸へと、食べ物を渡してはいけない」
別に問題ないような使い方に思えますが、よくない使い方です。
日本人ですら、若い人の中には理由を知らない人が、多くいるものです。
あなたは、この使い方がいけない理由を、説明できますか。
もちろん理由があります。
仏教では、火葬場で死者を焼いた後、骨が残ります。
残った骨は、箸を使って骨壺に骨を収めます。
このとき、骨の収め方に特徴があります。
1人が骨を箸でつかみ、ほかの人がつかまれた骨をつかんで、骨壺に収めるのです。
なぜ、こうした方法を採っているのでしょうか。
日本語で「箸」と「橋」では、発音や響きが同じです。
仏教では、この世とあの世の境には「三途の川」と呼ばれる川があると言われます。
箸を使って骨を渡すことで、その川をうまく「橋渡し」ができるように、という願いが込められているのです。
これはあくまで、火葬の際、死者の骨を拾うときにする方法です。
死者に対して行う箸の作法です。
日常の食事の際は、絶対にやめるようにしましょう。
食事中にするのは、この「骨拾い」を連想させてしまうため、タブーとされているのです。
もしほかの人に料理を渡したければ、受け皿の上に載せてから渡すようにするのがマナーです。