ある日、私は町内の祭りに参加して遊歩道を歩いていたときのことです。
ふと、ずいぶん長い行列ができている屋台を見つけました。
ほかの屋台はすいているのに、その1件だけ長蛇の列です。
気になって私も並んでいました。
並んで待っていたとき、ちょうど私の前で待っている人たちが、小さな声でなにやら話し始めました。
ひそひそ小声で話している内容でしたが、そばにいる私は会話の内容を耳にできました。
「最新機種の携帯だけど買って失敗した。見た目はかっこいいけど、使いにくいんだよね」
「ボタンを押してからの反応が思ったより遅くて、使うたびにいらいらする。機能は増えたけど、使わない機能ばかりだし」
「これなら古い機種のほうがましだ。お金を返してほしい」
小さな声だけあって、まさに本音でした。
おそらく最新機種のため、たくさんの機能を盛り込んだのでしょう。
盛り込んだ機能が多すぎたため全体的な動作が遅くなり、結果として使用者の不満を大きくさせているようでした。
商品を作っている側は、なかなかこれに気づきません。
商品を使っているユーザーだからこそ、感じる不満であり、本音です。
大きな声では言えないので、小さな声でひそひそ語られる会話は、往々にして本音が多いです。
デパートでショッピングしているときも、ひそひそ小声の声が聞こえてきます。
「使いにくいな」
「わかりにくいな」
「重いな」
これらもすべて本音です。
そういう小さな声ほど、しっかり聞いておく必要があります。
商品やサービスを提供する側は、消費者が求めているものは高機能・高性能だと思っています。
しかし、人々が本当に求めているのは、高機能・高性能ではなく、もっと別のことだったりします。
それは小声で語られる声を聞かなければいけません。
小さな声を聞いていれば、人々が本当に望んでいることが見えてきます。
高機能・高性能以外の要望が、見えてくるのです。