過去の歴史を振り返ると、時代の先を読みやすいヒントがあります。
いい例として挙げれば、十返舎一九という人が書いた『東海道中膝栗毛』という旅物語です。
弥次郎兵衛と喜多八の2人が、東海道に沿って江戸から始まり、伊勢神宮・京都・大阪を旅する珍道中記です。
もちろん旅は平坦ではありません。
旅の途中で起こるトラブルを、冗談や狂歌を交えて楽しめる内容に仕上がっています。
当時はほかにも文学作品があった中で「東海道中膝栗毛」が群を抜いて、大ヒットしました。
理由は文体にあります。
実は、当時の作品としては珍しく「口語体で書かれている文学」でした。
文学作品は、文語体が一般的です。
硬い表現でわかりにくくて読みにくいため、なかなか人々に受け入れられませんでした。
しかし「東海道中膝栗毛」が文学を口語体で表現したことで読みやすくなり、多くの人々に受け入れられました。
「これは読みやすい。面白いな」と感じたから、多くの人に受け入れられました。
どんなにいいものも、まず読んでもらわなければ始まりません。
おそらく十返舎一九は、わかりやすい口語体で書けば人気が出ることを、予想していたのでしょう。
この歴史から読み取れるポイントは「わかりやすいものはヒットしやすい」ということです。
わかりやすいことのメリットは子どもや老人も対象に含まれ、売れる幅が広がります。
これは過去に限った話ではなく、現代でもまったく通用する話です。
商品もサービスも、人が使います。
人が使いますから、人に受け入れられやすい形にすることで、よりヒットしやすくなります。
これからの時代も、よりわかりやすいものが生き残ることでしょう。