電話で相手の声が遠いことがあります。
声が小さくて聞き取れないときです。
そんなときにはやむなく、もう少し大きな声で話してもらえるようにお願いします。
しかし、そのお願いの仕方にもマナーがあります。
「もっと大きな声で話してください」
こんなぶっきらぼうなお願いをしていないでしょうか。
この言い方では「お願い」ではなく「命令」になっています。
お客さまに命令するのは、スマートな言い方とは言えません。
いくら聞こえにくいとはいえ、こうしたお願いの仕方では、相手に不快感を与えます。
マナーのある社会人なら、丁寧にお願いできるようになりましょう。
「申し訳ございません。少々、お電話が遠いようなのですが」
初めに「申し訳ございません」と断りを入れてから話し始めるところがポイントです。
「受話器が口元から遠いので、声が小さくて聞き取りにくい」ということを「お電話が遠い」という表現で伝えます。
曖昧に伝えるのが得意な日本人は、このようにして言いたいことを伝えます。
なかなか上手な表現ですね。
この言い方なら、相手に失礼にはなりません。
相手は、自分の声が聞こえにくいことを察知してくれます。
「私の声は聞き取りづらいのだな」と思えば、大きな声で話してくれるようになります。
ささいな言い方の工夫で、問題は解決するのです。