私は、たくさんの文章を短期間で書いています。
1冊30項目を最短で2日、長くても1週間です。
「水口さんは書くのが速いのに、面白い内容が次々とよく書けますね」とよく言われます。
もともとせっかちな性格なので、速いのは生まれつきの性分です。
もちろん「速いですね」と言われるのは嬉しいのですが「ちょっと違うなあ」と思います。
早く書くから、結果として面白い内容の文章が書けているだけです。
面白い文章は、速さを意識すれば、自然と書けてしまいます。
もし、ゆっくり慎重に書いていれば、これまでのような文章は書けなかったことでしょう。
わかりやすく説明をさせていただくと、スピードを出すことによる「火花」を利用して文章を書いている状態です。
レーシングカーはスピードを出していると、摩擦により、道路から火花が飛び散りますよね。
文章も同じく、スピードを出して書いていると、摩擦により「ひらめき」という火花がぱちぱち散り始めます。
スピードを出すだけでいいのです。
私は、ネタを用意せずに、いきなり書き始めます。
スピードを出してとにかく書いていると「ひらめき」という火花が飛び散るようになるからです。
レーシングカーがスピードを出せば出すほど、火花が激しく散るように、文章も書けば書くほど、ひらめきの火花が激しく散ります。
スピードを出して書いているとき散った火花、いわば「ひらめき」を利用して、さらに次の文章を書いています。
次の文章を、スピードを意識して書いていると、さらなる火花(ひらめき)がぱちぱち散り、その瞬間に書いてしまいます。
火花を次々とつなげて、あっという間に1冊書き上げてしまうのです。
ひらめいたその瞬間に書いてしまい、書いているとまたひらめき、気づけば、1冊書き終わっているのです。
質の高さは、スピードに比例します。
スピードがあるほど、集中力が出て、注意力、気力も同時に発揮できるようになるのです。
その瞬間、周りが見えなくなり、同時に記憶がなくなります。
時間は短くてかまいませんから、その短時間だけはとても集中することがポイントです。
私はただ、集中して早く書いているから、結果として質の高い文章が書けるだけです。
個人の能力ではありません。
私はしばしば「これは私でなくても書けるなあ」と思います。
私でなくてもほかの人でもスピードさえあれば、ひらめきはいくらでも出ることでしょう。
作家にとって、スピードこそ命なのです。
ひらめきは、スピードを出すことで浮かぶものなのです。