人から食事をごちそうになることがあります。
相手から「今日の食事代は私が持ちます」と言われることがあるでしょう。
このとき、とっさに否定していませんか。
「それは申し訳ないです」
「ごちそうになるわけにはいけません」
「そんなことをされては困ります!」
一度否定してから「ごちそうになります」「甘えさせていただきます」と受け入れるならまだいいのです。
ごちそうされることになっても、感謝の気持ちが伝われば、相手も快く感じるでしょう。
しかし、かたくなに否定し続けるのはよくありません。
「今日はごちそうします」
「いえいえ、そんなことをされては困ります。むしろここは私のおごりで……」
しばらく不毛なやりとりが続くことになる。
そうこう言いながら、今度は会計伝票の争奪戦が始まります。
食事の場で会計伝票の奪い合いをすることほど見苦しいことはありません。
周りのお客さんは振り返り「あらあら」といった感じになります。
なかなか決着がつかないと、会計伝票争奪の主戦場がテーブルからレジに移動します。
レジの店員さんは心の中で「早くお金を払ってほしい」と思い、愛想笑いをしながらじっと待ち続けます。
レジの後ろのお客さんが詰まってしまい、お店にも迷惑です。
支払いのやりとりがかっこ悪いと、食事の後味も悪くなります。
こういうやりとりがあると、ごちそうする側もすっきりしません。
せっかく食事で相手との距離が縮まっても、支払いのタイミングで台無しです。
ごたごたしながらごちそうになると、なかなか仲良くなれないのです。
付き合いが下手な人は「ごちそうになってはいけない」「ごちそうされるのは悪いこと」と思っています。
これは誤解です。
ごちそうになるのは悪いことではありません。
ぐだぐだ残念そうにごちそうになるのが悪いのです。
ごちそうされることを嫌がることは、相手の好意を否定することになります。
本人に悪気はないのですが、心当たりがある人は注意が必要です。
ごちそうされるときのマナーがあります。
ごちそうされるときは、嬉しそうにするのがマナーです。
「本当にいいんですか。ありがとうございます。今日はお言葉に甘えてごちそうになります。次はぜひ私におごらせてください」
一度は遠慮の姿勢を見せてから嬉しそうにごちそうになれば、悪い気はしません。
嬉しそうに様子を見せれば、相手も「ごちそうしてよかった。喜んでもらえてよかった」と思ってくれます。
快くごちそうになることは、相手の顔を立てることにもつながります。
また「次はぜひ私におごらせてください」という一言があることもポイントです。
お返しに次回はごちそうしたいことを申し出ておけば、ごちそうになっても悪い気はしません。
「次はぜひ」ということで、さりげなくまた会う約束もできるのです。