あがり症に「精神論」は有効でしょうか。
精神論とは、精神力によって、困難を成し遂げようとする考え方のことを言います。
もちろん単純な緊張なら、精神論も有効です。
日常的な範囲の緊張なら、気持ちを引き締めることでストレスを吹き飛ばせるでしょう。
「自分は強い」と思い込んだり、言葉の力で気持ちを奮い立たせたりするのも、精神論の1つです。
あくまで単純な緊張なら、精神論が役立つのも事実です。
しかし、人前で極度に緊張しやすい性格、つまり「あがり症の克服」となると、話は変わります。
あがり症の場合、精神論だけで克服するのは注意が必要です。
気合や根性といった精神論では無理があります。
あがり症の中には、過去の失敗体験がトラウマになっていることがあります。
記憶は、忘れたくてもすぐ忘れられません。
強烈な失敗体験があると、人前に出たとき、体が反射的に反応します。
もともと気弱や臆病な人は、性格上、気合や根性を出したくても難しいでしょう。
気合や根性だけであがり症が克服できるなら、誰も苦労しません。
むしろ精神論であがり症を克服しようとすると、逆に悪化させる可能性があります。
あがり症の克服に必要なのは「精神論」ではなく「方法論」です。
正しい方法で、場数と成功体験を増やさなければいけません。
心の病が関係しているなら、時にはカウンセラーの協力や薬の力も必要です。
あがり症は、心の問題でありながら、必要なのは方法論なのです。