子育ての理想は、親のみに育てられることではありません。
近所のかたにも親のように怒ってもらえるほうが、子どものためになります。
つまりコミュニティー全体が1つの教育機関として機能するほうが、子どもは健全に育っていきます。
「よその親に口出しされたくない」という親なら失格です。
「お互いに助け合う」というのが、人生では基本的な幸せの哲学です。
これは子育てにも当てはまります。
悪いことをしたときには、近所の大人にもどんどん叱ってもらうほうが、子どもにとって勉強になります。
親の目の行き届かないところまで、しっかり教育を行き渡らせる効果的な育て方です。
私の実家は田舎です。
そんな田舎では人が少ないせいもあって、近所の人で知らない人はいませんでした。
顔を見るだけで「○○さんの孫」という呼び名で、呼ばれていたものです。
私がまだ小学校のころのことです。
近所においしそうな柿の木があり、友人と一緒になって取っていたら家の人に見つかり「こら!」と叱られたことがありました。
周囲にはあまり人もいないので、私の顔を見ただけで「○○さん家の孫」とわかります。
私の名前ではなく「○○さん家の孫」という呼ばれ方しかされないのが、田舎の証拠です。
私の親にも連絡されたため、同じ過ちで、2回も叱られることになりました。
そのときに私は、外で悪さをするとさらに叱られることを学びます。
漫画のような出来事ですが、実際に田舎ではそうしたことが本当にあります。
親だけではなく、目の届かない外に出たときによその親が叱ってくれると、広い範囲まで教育を行き渡らせることができます。
よその家の人に叱られることは、子どもにはつらいことですが、地域が1つになって教育に取り組んでいるということなのです。