「スーツに手入れなんていらないのではないか」
そう思う人もいるでしょう。
手入れを省いたとしても、着ることに問題はありません。
スーツの手入れでやっかいなのは、時に費用がかかることです。
ブラッシング用のブラシや別売りの防虫カバーを買ったり、クリーニングに出したりなどです。
それぞれは小さな金額でも、重なると大きくなり、家計に影響するでしょう。
人とスーツには、共通点があります。
人が予防接種をすれば、流行性の病気を予防できます。
スーツも、ときどき虫干しすれば、かびや虫の害を予防できます。
私たちが、普段着で使うハンガーといえば、1種類と考えがちです。
「ハンガーに種類なんてあるのか」と思いますが、実はあります。
スーツを長持ちさせたければ、3種類のハンガーを使い分けるのが適切です。
お手入れの最大の難しさは、帰宅直後かもしれません。
仕事で疲れて帰宅すると、スーツを脱ぎ捨ててしまいがちです。
スーツをハンガーに掛けるべきと頭でわかっていても、疲れていると、面倒に思うもの。
スーツをクローゼットに何着も並べて収納する様子を思い出してください。
隙間なく、びっしり収納していませんか。
隙間なく並べたほうが、より多くのスーツを収納でき、クローゼットを効率よく活用できると思うかもしれません。
帰宅して、ハンガーにスーツを掛けるとき、ポケットの中身はすべて取り出しておきましょう。
物を入れたままにしていると、重みや大きさのため、型崩れの原因になります。
ハンカチ・ティッシュ・携帯電話・何かの紙切れ。
ブラッシング用のブラシとはいえ、ピンキリです。
格安ショップで販売されている簡易ブラシもあれば、天然の高級素材を使ったブラシまでさまざまです。
もちろん選び方は自由です。
ブラッシングは方法を誤ると、不十分であったり、かえってしわの原因になったりする場合があります。
素早くささっと済ませたいところですが、気をつけたい点がいくつかあります。
焦らずに、次の5つのポイントを押さえたうえで、ブラッシングを心がけましょう。
ブラッシングで最も見落としやすいのは、ポケットです。
ブラッシングと言えば、スーツの表面ばかりに注意が向きがちです。
そのため、ポケットの内側を、すっかり忘れていることがあります。
1日を振り返ると、ジャケットにしわができる場面がたくさんあります。
椅子の背にもたれたり、車を運転したり、電車の座席に座ったりなどです。
特にジャケットは、背中にしわが寄りやすい。
スーツを長持ちさせたければ、3種類のハンガーを使い分けるのが適切です。
「ジャケット用のハンガー」「シャツ用のハンガー」「スラックス用のハンガー」です。
それぞれスーツの形が違えば、ハンガーの形も違って当然ですね。
ジャケットのしわを伸ばすときは、アイロンの蒸気が効果的です。
温かい蒸気を当てるだけで、素材に備わる本来の弾力や感触がよみがえり、自然にしわが取れていきます。
しわが気になる部分は、しわの部分を軽く伸ばしながら蒸気を当てると、きれいにしわが取れるでしょう。
気に入ったスーツは、毎日着たいと思うもの。
ただし、毎日着たいと思っても、できるだけ避けたほうがいいでしょう。
1日着たスーツは、1日以上は休ませたいところです。
スラックスを休めるとき、ハンガーのポール部分に、2つ折りにして吊す方法があります。
もちろんこの吊し方でもいいのですが、長時間吊したままにしておくと、折り目が付きやすくなります。
スラックスを休めるとき、できれば専用のハンガーを使いましょう。
スラックスは、上着に比べて汚れが付着しやすい部分です。
歩いたとき、足元から跳ね返る汚れが付くのは、まずスラックス。
スーツ全体の中でも、特に入念なブラッシングが必要な部分と言っていいでしょう。
スラックスのアイロンがけは、ワイシャツを除き、直接アイロンは当てないのが基本です。
スラックスにアイロンを直接当てると、アイロンが効きすぎてしまいます。
きれいにしわが伸びて、折り目も付けられるのですが、素材の弾力が失われて薄くなり、てかりやすくなります。
スーツは、定期的に虫干しするのが得策です。
虫干しとは、かびや虫の害を防ぐため、衣服を日に干したり風に当てたりする行為をいいます。
夏によく行われることから「夏干し」や「土用干し」とも呼ばれることがあります。
スーツのアイロンがけには、ある程度の知識や技術が必要です。
アイロンの温度や当て布の使い方などです。
アイロンを当てる強さや手際のよさも、仕上がりに違いを生むポイントです。
「洗うのは業者」と思いますが、やはり業者も人間であり、完璧ではありません。
クリーニングに出すときに心遣いがあると、仕上がりが、さらによくなる場合があります。
(1)ポケットの中身を取り出しておく
「ドライクリーニングにしますか。ウェットクリーニングにしますか」
クリーニングに出そうとする際、唐突に聞かれることがあります。
それぞれの違いがよくわからなければ、返事に困ってしまうでしょう。
クリーニングから戻ってきた衣類は、袋に入っている状態が一般的です。
きれいな状態を少しでも長く維持したいと思えば、袋に入れたまま収納する人も多いのではないでしょうか。
良かれと思ってしやすいパターンですが、実は、適切とは言いにくい収納方法です。
スーツのクリーニングは、やりすぎに要注意です。
もちろんにおいや汚れが気になれば、すぐクリーニングに出したほうがいい場合もあります。
汚れやにおいが目立つスーツのままでは、相手に不快を与え、ビジネスにも影響するでしょう。
同じ柄のスーツを毎日使いたいという人もいるでしょう。
ジャケットやスラックスなど、気に入っているスーツがあれば、同じものでも毎日着たくなるものです。
しかし、スーツを長持ちさせるなら、休ませる期間を設けるのが常識です。
お手入れで手抜きをしがちなのは、ネクタイです。
ジャケットやスラックスは目立つため、手入れの配慮も行き届きやすい。
一方でネクタイは、意外に手入れを怠りがちではないでしょうか。
スーツが雨で濡れたときは、お手入れも少し工夫が必要です。
まず気をつけたいのは、布類。
濡れたスーツは、タオルやハンカチなどで拭きたくなりますが、注意が必要です。
スーツの大敵の1つが、タバコのにおい。
スーツが雨に濡れたときも対処に苦労しますが、タバコのにおいは、さらに苦労するでしょう。
水滴とは違い、タバコのにおいは目に見えず、量もわからず、対処に困るところ。
スーツ全体のにおいを取り除くとき、どうしますか。
たばこのにおいとは限りません。
汗のにおいや、外食によるにおいもあるでしょう。
スーツをクローゼットに収納する前、一時的に部屋で干す場面があります。
たとえば、雨に濡れたスーツは、自然乾燥させるため、風通しのよい場所で陰干しします。
クリーニングから戻ってきたスーツも、溶剤のにおいを取り除くため、しばらく部屋で干す場合が多いでしょう。
季節別のスーツの場合、シーズンオフになれば、長期保管です。
長期保管の際、最も注意したいのが、カビや虫の害などでしょう。
普通にたたんで保管するのもいいですが、保管方法にも工夫があります。