中学2年のころ、私はよく放課後、学校に残って、教室で勉強をしていました。
放課後になると、独特の開放感があり、なんとなく好きでした。
初めは放課後の心地よい雰囲気を楽しむのが目的でしたが、だんだん放課後に勉強もするようになりました。
不思議と、そういう気分になります。
放課後になると、ブラスバンド部の演奏が聞こえてきます。
ブラスバンドの演奏の練習は、音楽室が中心のようでしたが、天気がいい日は音楽室以外でも演奏していました。
演奏を練習する場所は自由のようで、教室・廊下・校庭などさまざまな場所で練習していました。
ときどき、クラスのブラスバンド部の女の子である、まゆこさんとあやさんが教室に顔を見せていました。
「また勉強している」
勉強している私は冷やかされました。
彼女たちは、放課後のブラスバンド演奏をとても楽しんでいるようでした。
私はテニス部でしたが、幽霊部員となって「テニスしなくていいの」と叱られたりもしました。
なぜ放課後に勉強しているのかというと、初めは「なんとなく集中できるから」という理由でした。
放課後は疲れもたまっているはずですが、なぜか勉強がはかどります。
今になって思えば、あのときのブラスバンドの演奏を、無意識のうちに求めていたのだと思います。
夕方の雰囲気と、彼女たちが演奏するBGMが重なったとき、なんとも言えない不思議な気持ちになりました。
クラシック音楽はアルファ波が出て、集中しやすいと言いますが、まさにそれです。
心が軽くなり、癒され、澄み切った気持ちになれました。
そのおかげか、放課後は勉強がはかどりました。
そういえば、音楽家たちには勉強ができる人も多いように思えます。
アインシュタインもピアノがうまかったといいます。
成績が優秀な人には、ピアノやバイオリンを得意とする人が多い。
実は、先ほど登場したまゆこさんとあやさんは、クラスでもトップの成績優秀者でした。
2人は日頃からクラシック音楽をよく聞くといいます。
おそらく私のようにクラシックの音楽に癒されて、勉強にも集中できていたのでしょう。
また、が演奏する音楽がちょうどいい気分転換にもなり、勉強への活力を養っていたのかもしれません。
一見すると、関係なさそうな「クラシック」と「勉強」。
実は、裏で深いつながりがあったのです。