私が仕事で、部下にお願いするときのことです。
ある仕事のお願いをしたときに、ちょっと苦手そうな顔をするときがあります。
私は直感的に「あまりやりたくないんだな」とわかりますが、おかまいなしに続けていつも言う言葉があります。
「やりたくなければやらなくてもいいよ。ほかの人に頼むから」
するとほとんどの人の場合「大丈夫です! やります!」と目を輝かせ始めます。
さっきまで、やる気がなかったはずなのに、やる気になるのです。
仕事をお願いしていることには変わりありません。
少し言い方を変えただけです。
しかし、やらなくてもいいという逃げ道を作られると、不思議と、人間はやりたくなります。
「しなくてもいいですよ」と言われると、したくなります。
「やめてもいいですよ」と言われると、続けたくなります。
「諦めてもいいよ」と言われると、もう少し頑張りたくなります。
不思議なもので、逃げ道を提供されると、逃げ道があるにもかかわらず、逃げたくなくなるのです。
なぜでしょうか。
理由は単純です。
すべての人には「認められたい」という欲求があります。
認められると、愛されていると感じるからです。
「やめてもいいですよ」と言われると、自分という存在を無視されるような気がします。
つい反発して「大丈夫です!」と言って続けたくなるのです。
自分を認めてもらいたいためにです。
相手を説得させたいときには、あえて逃げ道を作ってあげることも大切です。
「逃げ道があるんだ」と安心できると同時に、自分という存在を認めてもらいたいために、頑張ってくれるものです。
逃げ道を作ることが説得力です。