恥ずかしい、私の過去を紹介します。
私は昔、物が捨てられない人間でした。
部屋にはたくさんの物が置かれ、あふれんばかりの量でした。
特に多かったものは「本」でした。
本がたくさん置かれていると、自分は頭がよくなった感じがして、また遊びにくる友人も「すごいね」と言ってくれるからです。
自分に自信があったからではありません。
逆です。
自信がなかったから、たくさん本を並べ、捨てることができなかったのです。
コンプレックスを隠すために、頭がいい人と思われたいから本をたくさん置いて飾ることで、いわば「お化粧」をしていました。
弱い人間だった。
「もったいない」という気持ちもありましたが「自信がない」ということが一番の原因だったからです。
当時の私の部屋は、ごちゃごちゃであり、きれいな部屋とはいえない状態でした。
それがいつのころだったか、本が捨てられるようなきっかけが生まれます。
何の本だったか忘れましたが「自信のない人ほど、部屋にたくさん物を置きたがる」という言葉を本の中から見つけたのです。
自分のことをいっているかのような気がして、頭を打たれたような強い衝撃があったことを、今でも覚えています。
>自信がない人ほど、部屋に物を置きたがり、置けば置くほど捨てられなくなります。
>もったいないという心が生まれ、余計に自分を縛り付ける縄になる。
「まさに私のことではないか!」と感じ、自分の本当の姿が見えるようになりました。
もう一度自分の部屋を振り返ると、今まで自慢の部屋が、コンプレックスにあふれた部屋であることに気づいたのです。
たくさん物が置かれてごちゃごちゃしている姿は、弱い心にお化粧をしているような姿でした。
たくさんの本を置いて、自分は偉いと勘違いをしてしまう。
「貧乏人と思われたくない」という恐怖によって、ソファー、ベッド、椅子などを、たくさん買い揃えていました。
今まで、そんな自分にさえ気づいていなかった。
私は、情けなくなってしまった。
一生懸命に隠そうとしている自分は、情けなく、弱く、哀れに見えたからです。
そのときからです。
こんな自分からはサヨナラしようと思い、部屋の中にある物をどんどんと捨てるようになりました。
本は、一度に500冊以上も捨ててしまい、そのほか使わないものはすべてあげたり、捨てたりしてしまいました。
もちろん部屋は殺風景になりました。
いつでも引っ越しができるほどです。
しかし、それこそ、自分の本当の姿であることに気づきました。
お化粧をやめた女性が、本来の素肌で人と接するように、私もお化粧をやめることで本来の自分で生活ができるようになったのです。
軽くなったあのときの感覚は、今でも忘れません。
汚れたところは、汚れたままでいい。
隠すほうがみっともない。
嘘の自分を見せるより、正直な自分を見せて生きていくほうが「自由」だと思ったのです。
そうした自由な生活を歩めるようになり、私を束縛していた縄は、いつの間にかほどかれていました。
私はようやく、本来の自分の人生を歩んでいくことができるようになったのです。