こびとは何か。
人の顔色をうかがって、機嫌を取るようなことを言ったりしたりすることをいいます。
あるいは、相手に気に入られようと、へつらったり低姿勢な態度を見せたりすることも同様です。
こびという言葉を聞いた瞬間、即座に抵抗感を示す人が少なくありません。
「こびるなんてみっともない。かっこ悪い。恥ずかしい」
頭の中で「こびること=悪いこと」という方程式が出来上がっています。
こびを売ることはかっこ悪くてみっともないと思っています。
下心が見え見えで品のない行為と感じる人もいるでしょう。
たしかに悪印象が目立つのは事実ですが、だからといって一概に否定するのはよくありません。
こびのすべてが悪いわけではありません。
一言で「こび」といっても「よいこび」と「悪いこび」の2つがあります。
それぞれ分けて考える必要があります。
悪いこびとは、金品の授与や性的な言動が伴うこびのことをいいます。
金品や性を使ったアピールは好ましくありません。
卑しくて下品です。
知性や教養も感じられません。
いくら相手が喜ぶとはいえ、人としての品位を下げるような行為は控えることです。
よいこびとは、スマートな気遣いで相手を上機嫌にさせることをいいます。
よいこびには金品の授与や性的な言動がなく、知性や教養があります。
たとえば、相手の仕事をたたえたり、相手の価値を認めたり、相手が喜ぶような話を披露したりです。
相手が快適に感じるよう、嬉しい言葉や気の利いた振る舞いを通して相手の気分を盛り上げます。
そこには、上品でいながらも、相手の自尊心をくすぐる要素があります。
こびるといっても簡単にできることではありません。
高度なスキルが求められます。
相手の様子をしっかり観察して、相手が喜びそうなことを察することが必要です。
場の空気を読んで、一番よいであろう選択肢を見極める必要があります。
相手が喜びそうなことを、タイミングよく言ったり見せたりする必要もあります。
こびるとはいえ、高い知性と鋭い観察力、そして積極的なアクションが求められます。
こびる人がいれば、すぐさま非難するのではなく、その人の表現に注意を向けてください。
世の中には、上手にこびる人がいるものです。
上手にこびる様子がうかがえるなら、振る舞い方と積極性を学び、吸収させていただきましょう。
上手にこびる人は、必ず世渡り上手です。
何もしないでいるよりは、積極的に人生を生きている姿です。
金品の授与も性的な言動もなく、上手に相手の機嫌を取る様子がうかがえるなら、参考の価値があります。
こびることが悪いと一概に決めつけないことです。
注意したいのはあくまで悪いこびであって、よいこびであればまったく問題ありません。
よいこびであれば、ためらうことなくどんどんアピールしてください。
こびることすらできないと、チャンスもつかめません。
意地を張ってこびることを拒んでいると、つかめるチャンスをつかめなくなります。
仕事も社会も人生も「人」で成り立っています。
人がいるかぎり感情があるのですから、心を動かしていくアプローチが欠かせません。
上手に人を動かしていくことで、夢や成功に近づいていけます。
こびることも、処世術の1つです。