「何を食べたか」を気にする人は多い。
「甘いものを食べたい」
「高価なものを食べたい」
「豪華なものを食べたい」
「大好物を食べたい」
「健康にいいものを食べたい」
たしかに食べたいものを食べれば、心に幸せが広がります。
甘いもの好きの人なら、甘いものに目がないでしょう。
食欲旺盛な人なら、とにかくたくさん食べたいと考えるでしょう。
健康意識の高い人なら、できるだけ健康にいいものを食べたいと考えている人も多いでしょう。
「おいしい=幸せ」であるのは間違いありません。
もちろん何を食べるかも大切ですが、私たちは食べる対象にとらわれすぎています。
どんなにおいしいものでも、飲み込むような食べ方をしては味がないも同然です。
いくら健康にいいものでも、食べすぎては、かえって健康に悪影響です。
「何を食べたか」を考えすぎていると、食の先入観が働きます。
おいしさに食の価値観を置くと「おいしいものでないと味わえない、楽しめない、幸せになれない」と思ってしまいます。
もちろんこれは完全な思い込みです。
ここで大切なことに気づいてください。
「何を食べたか」も大切ですが、それ以上に大切なことがあります。
「どれだけ味わったか」です。
本当に大切なのは「どれだけ味わったか」です。
食べるときは、とにかく味わうことに集中することです。
普通の食べ物でも、味わうことです。
よく噛んで味に集中すれば、十分なおいしさが感じられ、しっかり味わえます。
苦いものや辛いものであっても味わうことです。
苦さや辛さといった刺激を「食の醍醐味」として考えれば、きちんと味わえます。
こんにゃくのような味のないものもあるでしょう。
そういうときは「食感」を味わってください。
こんにゃくには柔らかで弾力があって、ふにゃふにゃしたユニークな食感があります。
「面白い食感だね」と思えば、それはそれで面白いでしょう。
水のように、味も香りもないものであれば「クリア感」を味わってください。
クリア感を楽しめば、きちんと味わえます。
味がなくても味わえます。
たとえまずい食べ物であっても味わうことです。
「味わうことなんてできない」と思いますが、まずさを味わってください。
まずい味は、まずいものしか味わえません。
まずい味も、食の醍醐味の1つです。
不快感を楽しめば、それはそれであなたの豊かな食生活に貢献します。
食べる対象にとらわれないことです。
「何を食べたか」も大切ですが「どれだけ味わったか」はもっと大切です。
何を食べようと「味わうこと」を大切にしてください。
「おいしいものなら味わえて、そうでないものは味わえない」は誤解です。
何を食べても、その気になれば味わえます。
おいしいものだけでなく、そうでないものも、その気になれば味わえます。
食の醍醐味は、特別な食べ物だけに存在しているのではなく、すべての食べ物に存在しています。
味わうことさえできれば、何を食べようと、食の幸せを感じることができます。
食べ物から味わいを引き出すことが、食の醍醐味です。