「年を取ってから脂っこいものが苦手になった」
「若いころのように、脂っこいものをがっつり食べるのはちょっと苦しい」
「年齢を重ねていくにつれて、あっさりした食事を好むようになった」
そんな声を聞くことがあります。
年を取ると脂っこい食べ物が苦手になることが少なくありません。
これは医学的にも証明されています。
脂っこいものを食べると、多量の脂肪分を摂取することになります。
加齢によって胃の機能が低下すると、脂肪分の消化機能や排泄機能が弱くなり、消化不良を起こしやすくなります。
結果として、それが不快感や胃もたれの原因になってしまうのです。
ひどい場合となると、下痢を起こすことも少なくありません。
年を取って脂っこいものが苦手になるケースは事実であり、医学的にも説明のつく現象です。
さて、年を取って脂っこいものが苦手になったとき、よくあるパターンがあります。
「脂っこいものは絶対無理」という完全否定に変わるケースです。
いったん脂っこいものが苦手になると、思い込みが誇大化して、最初から完全に脂っこいものを避けるケースが少なくありません。
もちろん無難に避けておけば安心ですが、ちょっともったいないのです。
いきなりレッドカードを振り上げている状態です。
食べられるものが減ることになり、食の可能性を狭めることになります。
「もう年だから勉強しても無駄」「もう年だから運動なんて無理」「もう年だから転職できない」と言っているのと同じです。
年齢を言い訳にして最初から諦めないことです。
たしかに脂っこいものは苦手になったかもしれませんが、だからといって「まったく食べられない」は大げさです。
あくまで苦手になっただけのことです。
まったく一口も食べられなくなったわけではありません。
いつの間にか大げさに解釈して「脂っこいものは絶対無理」と思わないことです。
完全に否定すると、食の楽しみが制限されてしまいます。
ここで大切なことがあります。
脂っこい食べ物は「少量」で楽しむようにしましょう。
避けるべきは、あくまで大量摂取です。
年のせいで脂っこいものが苦手になれば、少量の範囲で楽しめば問題ないでしょう。
「少量では意味がない」と思わないでください。
少量であっても、きちんと食べることに変わりありません。
「少量では迷惑がかかる」と思う必要もありません。
作る段階や注文の段階で調整すればいいことです。
ビュッフェであれば、取るタイミングで量を調整すればいいでしょう。
加齢によって胃の機能が低下していても、少量であれば無理なく楽しめるでしょう。
少量ですら無理という場合は仕方ありませんが、少量なら大丈夫という場合も多いはずです。
若いころの半分の量でも十分です。
半分が無理なら、3分の1でもかまいません。
少量であっても、よく噛んでゆっくり食べれば、十分おいしく楽しめます。
噛めば噛むほど、唾液の分泌も促され、消化もよくなります。
年のせいで食の可能性を制限しないでください。
おいしいものは、年齢を重ねてもおいしくいただきたいもの。
脂っこいものが苦手になったとはいえ、少量であれば、年を取ってもまだまだ楽しめます。