アイデア発想に役立つ考え方が「回り道」です。
「回り道」という言葉には、ネガティブなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
たしかに物理的な移動なら、回り道より近道のほうが有効です。
たとえば、家から会社を移動するなら、近道を通ったほうが楽です。
距離が短くて済むので、時間も体力も節約できます。
また仕事においても、余計な回り道は要注意です。
納期が決まっている仕事なら、できるだけ無駄を省き、効率よく進めることが必要です。
無駄なプロセスをなくすことで、仕事の完成も早くなる上、ミスや間違いを減らすことにも貢献します。
世の中は、回り道を避けるべき場面が大半です。
「どこかに近道はないだろうか」と、いつもアンテナを張り巡らしている人も多いでしょう。
しかし、アイデア発想の場合、近道が正しいとは限りません。
アイデア発想で近道を意識すると、無駄を省きすぎてしまい、ネタや刺激との出会いが制限されます。
ネタや刺激との出会いを制限することは、想像力・発想力の制限につながります。
アイデアが出にくい状態になり、もんもんとした時間が過ぎることになるでしょう。
効率を求めたばかりに、かえって効率が悪くなってしまうのです。
なかなか発想がスムーズにできないなら、近道ばかり求めているせいかもしれません。
アイデア発想で大切なのは、近道より回り道です。
アイデア発想では、さまざまなネタや刺激が必要です。
アイデアは、既存要素の新しい組み合わせです。
あえて回り道をすることで、遊びの要素が生まれ、ネタや刺激との出会いが増えます。
関係のあるネタだけでなく、無関係のネタが役立つことも少なくありません。
ネタや刺激が多くなるにつれて、組み合わせのパターンが増え、アイデアが出やすくなるのです。
近道ばかりを求めるのではなく、回り道も楽しみましょう。
手間暇が増えてよし。
できるだけ楽しみながら回り道をするほうが、心のアンテナの感度がよくなるため、ネタや刺激に出会いやすくなります。
意外なネタがアイデア発想につながることは珍しくありません。
面倒が増えても楽しめばいい。
面倒なことも、遊び心を持って楽しめば、有意義に変わります。
面倒なことが、ネタになる可能性も十分あります。
回り道ばかりになるのはよくありませんが、適度な回り道は必ずプラスに働きます。
回り道をすることが、発想の近道になるのです。