いらいらしたら外に出ましょう。
太陽を背にして、地面に映った自分の影を見ましょう。
ひたすら自分の影をじっと見つめるだけでいい。
「自分の影を見ても仕方ない」と思うかもしれませんが、騙されたと思って、一度試してみてください。
鏡とは違い、影はシンプルなモノクロです。
色も表情もわからず、わかるのは輪郭だけです。
光の当たる角度によっては、若干ゆがんで見えます。
この曖昧で抽象的な具合がいいのです。
「自分の姿を見るなら、鏡のほうが便利なのではないか」
そう思うかもしれませんが、鏡の場合、自分の姿がはっきり見えすぎます。
自分の表情や姿がはっきり見えすぎるのも、生々しくてよくありません。
いらいらしている自分の表情を見ると、ますますいらいらがエスカレートすることもあります。
冷静な自分を取り戻すなら、モノクロの影のほうが、ほどよく曖昧なので効果的です。
地面に映った影は、もう1人の自分です。
自分を見つめているうちに、何か感じることがあるはずです。
「どうして自分はこんなことにいらいらしているのだろう」
「こんなにいらいらしているのに、影で映った自分はあっさりしている」
「影で見ると、自分は意外と小さい」
時には、地面に映った影が「落ち着け」と話しかけているようにも感じてくることもあるでしょう。
シンプルな影を見つめることで、心もシンプルな状態に整っていきます。
いらいらしているときは、興奮が激しくなっています。
地面に映った自分の影を見ていると、自分を客観視できるようになり、自然と興奮が収まってくるのです。
この方法は、夜でも活用できます。
夜なら部屋の照明ライトをつけて、地面に映った自分の影を見るだけでいい。
じっと数分間見つめていると、次第に心が落ち着きます。
じわじわ平常心が戻ってくるのを実感できるでしょう。
他人の影ではいけないのです。
他人の影は、あくまで他人です。
自分の影だからこそ、自分らしさが反映されていて、心を落ち着かせるのに効果的です。
自分の影にこんな活用方法があるなんて、誰が気づくでしょうか。
屋内でも屋外でも、明るい場所にいるなら、自分の影があります。
心を落ち着かせる存在がずっとそばにあるのです。
「自分の影は役にも立たない」と思うのは誤解です。
自分の影だからこそ役立ちます。
いらいらしたときは、もう1人の自分に助けてもらいましょう。
自分の影を通して、自分に励まされるのです。