車にぶつかりそうな人をみかけたとき、とっさに出る言葉があります。
「危ない」です。
大きな声で、危険であることを知らせようとするとき使う言葉です。
とっさの一言ですが、実は適切ではありません。
場合によっては、逆に危険を招く場合があるからです。
自分が「危ない」と言われた状況を思い出してください。
「何が危ないのだろう」と疑問に思うため、立ち止まって、周囲を見回すでしょう。
危険の正体がわかれば、次に何をするべきかを考え、ようやく危険回避の行動をします。
実際、行動に移すまでに時間が発生するのです。
1秒を争う緊急時に、考える時間はありません。
状況によっては、かえって危ない状況を招く場合さえあります。
「危ない」という言葉は、危ないのです。
では、どうするか。
「危ない」と思ったときは、危険回避の行動を、いきなり指示するのが正解です。
たとえば、危険回避のために立ち止まることが必要なら「危ない」ではなく「ストップ」と言いましょう。
「ストップ」と言われた相手は、とにかく立ち止まるでしょう。
何も考えず、言われた瞬間、実行できます。
あなたが直接指示することで、相手は危険回避の行動を、瞬時に実行できます。
「右に寄るべきだ」と思ったときは「右に寄って」です。
「後ろに下がるべき」だと思ったときは「後ろに下がって」です。
指示の意味は、危険が過ぎ去ってから教えればいいのです。