教育する親は、大人です。
大人ですから、つい子どもの立場を忘れ、大人の立場から教育を考えてしまうことがあります。
子どもへの教え方でよくありがちな典型的な間違いがあります。
「悪いことをしてはいけません」という教えです。
大人なら、ある程度、善悪の判断がつきます。
長く生きていますから、常識や作法などが身についており、何がよくて何が悪いのかがわかっています。
いいことは吸収し、悪いことは無視する。
そういう「判断」ができます。
しかし、子どもはまだきちんと善悪の判断がつきません。
「悪いことをしてはいけません」という教えは、そのとおりですが、いきなり最初に言っても幼い子どもは困ります。
幼い子どもには「悪いことは何なのか」と疑問に思うからです。
いいことと悪いことを判断したいけれど、わかるほど分別がまだついていない。
悪いことをしたくない気持ちはあっても、その判断ができません。
むしろ「何が悪いことなのか、こっちが教えてほしいよ」と思っています。
子どもに対する教え方は「悪いことをしてはいけません」ではなく「これは悪いことですよ」という教え方です。
子どもが間違ったことをしたとき、親は寛大な心で「これは悪いことですよ。悪いことだからしてはいけません」と優しく教えます。
そういうことを、一つ一つ丁寧に教えます。
この積み重ねです。
根気のいるところですが、一つ一つ善悪を教えて常識や作法を教えていくしかないのです。