最初にこれを書こうと思ったのは、偶然の出来事がきっかけでした。
実は昨日、読者のかたから嬉しいお便りのメールをいただきました。
「もっと早く、せめて10年前にこのサイトに出会えていればよかった」
読者のかたから嬉しいお便りはよくいただきますが、特に嬉しい内容でした。
話を聞くところによると、どうやら読者の方は浪人生の女性でした。
あまり詳しくは書けませんが、浪人として将来の不安や焦りにもがき苦しんでいる様子でした。
そのときです。
実は、私も大学受験に失敗し、浪人を経験した時期があります。
大きな不安を抱えていた時期があり、ふと彼女と自分とが重なりました。
「そういえば、自分が浪人のときも大変だったなあ」
あのときのつらい時期は、今、思い出すだけでも、また胸が痛くなるほどです。
今、一番大変だった時期はいつですかと聞かれれば「浪人時代」と即答します。
そのくらい大変でした。
勉強も大変でしたが、一番大変だったのは「自分と向き合うこと」でした。
浪人生活とは、実は「自分について深く考える時期」です。
考えざるを得ない時期であり、そういう状況になります。
今まで学校がありました。
自然と囲まれる親・先生・友人がいて、知らず知らずのうちに流されていました。
勝手に授業が進み、出された宿題をこなし、テストも定期的にあります。
特に計画を立てなくても、学校側の言っているとおりにすれば、そのとおりに行きます。
テレビの情報に流されたり、友人の意見に流されたりなど、なかなか自分らしい道を歩めないでいました。
しかし、浪人となるとそう単純な話ではありません。
いきなり野放しにされます。
1人きりです。
浪人生になると、急に多くの時間ができてしまいます。
助けてくれるであろう友人は、みんな、すでに大学生。
親は気持ちをわかってくれない。
頼れるのは自分だけですから、自分のことをいろいろな角度から考えるようになります。
考えざるを得ない状況になります。
それは見たくない自分でもあるし、弱さを自覚しなければいけない時期で、つらい。
「どうすればいい。どうしたらいい……」
不安もあり、焦りもあり、悩みや苦しみばかりの毎日。
不安を抱えながら「自分は何がやりたいのか。今の道でいいのか」など、さまざまなことを自然と考え始めます。
途中、自分の弱さ・性格・特徴など、見たくない自分も見ることになるでしょう。
忙しくしていた学生時代には、気づかなかった本当の自分です。
もちろん志望校の合格に必要な勉強の計画・宿題・模擬試験の申し込みなど、勉強もきちんと進めていかなければならない。
何か急に大きな重りがのしかかる時期です。
浪人生である読者からのメールがきっかけで、ふと、記憶が次々とよみがえりました。
もしかしたら、私の浪人生活の体験談が、現役浪人生の役に立つかもしれません。
胸の苦しみを押さえながら、書こうと思いました。
今までは蓋をしていた記憶を、再び確認しようと思います。
大変だった時期だけに、話せば長くなります。
ほんの少しでもお役に立てればと思います。