子どもはある程度成長すれば、親から離れようとします。
茶道の教えである守破離と同じように、成長した子どもは最終的に親から離れようとします。
しかし、親離れをしたい子どもがいても、子離れをしたくない親なら問題です。
本来、子どもの成長を願いながら、子どもが親から離れようとしたときに、拒む親が多いのです。
「一人暮らしを始めたい」と言う子どもに対して、親であるあなたは、こういうことを言っていませんか。
「許しません。あなたが1人で暮らし始めたら大変なことになる」
「お父さん、お母さんが、あなたを監視できなくなるでしょ」
「誰が親の面倒を見てくれるの?」
こういうことを言う親は、自分のことばかりを考えている親なのです。
子どもの成長を願いながら、成長したがる子どもを束縛しています。
一人暮らしを始めたいと言い出した子どもに対して、親は「いいよ」と言わなければならないのです。
それはついに、成長の最終段階「離」に入ったということです。
親はむしろ大喜びしないといけないのです。
「親がいなくても生きていけるようになります」という一大決心をしているのです。
悲しいことではなく、喜ぶべきことです。
いずれ親は、子どもより先に死んでしまいます。
そのときに、1人でも生きていけるように、親がいるうちから「親がいなくなったときの体験」をさせておくことが必要なのです。
本当に子どものことを思う親は、必ず子どもを手放せます。
早く手放したいと思います。
かわいいからといつまでも自分の手の中にいると、子どもは本当に成長できません。
「かわいい子には旅をさせよ」と言葉があるように、子どもの成長を思うなら、いつか子どもを手放す勇気を持ってください。
親こそ「子離れ」をするのです。
子どもを手放すことは、親としては、本当につらいことでしょう。
しかし、いつまでも世間知らずでは、子どもが社会に出たときに、うまくやっていくことができません。
「親離れ」をする子どもを、親は歓迎しないといけないのです。
引き止めてはならず「行ってらっしゃい」「つらくなったらいつでも戻ってきなさい」というくらいでいい。
親離れをするのは、子だけではありません。
親のほうこそ「子離れ」していかないといけないのです。