「守破離」という言葉を聞いたことがありますか。
不白流茶道を開いた川上不白が、著書『不白筆記』の中で、茶道の習得段階を記した言葉です。
茶道における成長段階を「守」「破」「離」という3段階に分けて、説明しています。
初期の段階では、師匠の言うことを、1から10まで徹底的に、守ります。
次の段階では、自分の個性を優先した向上のために、師匠から教わったことを、一転して破るようになります。
最終段階では、師匠から離れていくようになります。
守り、破り、離れていくという3段階は、茶道に限らず、ほかの武道にも通じます。
意外なことに、親子の関係においても、同じことがあります。
生まれてようやく立つことができるようになった子どもは、親の言うことを守ります。
何も知らない子どもですから、親の言うことに従い、言葉遣いやマナーなどを教わります。
生まれて間もない子どもですから、この親の言うことを守るという段階は、重要です。
一番の土台であり、基本、基礎になります。
しかし、さらに成長すれば、親の言うことを破るようになります。
非行に走る意味ではありません。
成長したがゆえに、親より素晴らしい学びを優先するようになるということです。
個性は親らしさとは異なります。
自分を深く掘り下げ、追求した結果、親からの教えを破るようになるのです。
世間は変わりますから、親の教えが今の世の中でもすべて通じるかといえば、疑問です。
少なからず親の言うことにも、時代遅れの部分があります。
あるいは、学びの段階において、親より優れた学びを見つけたというときもあるでしょう。
成長の活発な子どもには、強い吸収力があります。
親より早い成長のため、親の言うことを破るようになるのです。
親の言うことを破るようになったということは、もっと素晴らしい教えを見つけたということです。
親としては喜ぶべきこと。
さらに成長をすれば、どうなると思いますか。
子は、親から離れたくなるのです。
親が嫌いになって離れたくなるのではありません。
もっと成長を求めるがゆえに、自立しようとするのです。
巣立ちであり、自立を求め始めます。
親がいつまでもそばにいては、少なからず束縛があります。
束縛は、成長の妨げになり、障害となってしまうから、子どもは親から離れていきたがるのです。
家を飛び出し、一人暮らしをしたがるようになります。
これが、子育てにおける「守破離」です。
見てのとおり「守→破→離」と後の段階になるにつれて、だんだん親に対して反発をするようになります。
それは、非行を見てしまいがちですが、そうではない。
成長しているのです。
成長は反抗に見えてしまいますが、この成長するにつれて、親に反発し、最後には離れたくなるものなのです。
親離れをしたがり始めた子どもを、親は歓迎しなければならないのです。